04/19の日記

20:25
オリジナル短編 茸
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それは、観察者である私など気にも留めず、己を謳歌していた。

小さな小さなそれは、己の意志を持って動く。

うごうご、うごうご、うごうご。

蠢く様は、とても気味が悪い。

私は少し疲れて、視線を動かした。
しかし、その先にもそれは居た。

うごうご、うごうご、うごうご。

それはいつの間にか、辺りを埋め尽くす数になっていた。

気味が悪い。

各々を謳歌していた筈のそれらは、何時しか一つの塊となり始める。

うごうごと、少しずつ蠢き乍ら。

塊になっても尚、端の方のそれは少し蠢いていて。

観測者であるはずの私は、その気味の悪さに飲み込まれていた。

蠢いていた小さい生物はやがて、一本のしっかりとした柱を作る。
そして、その柱の上に立派な傘を開いた。

見れば、近くにも同じような物が沢山あった。


柔らかいのか硬いのか分からない、それで居てしっかりと肉の詰まった物ができあがる。

その、詰まっている分だけ。
あの気味が悪い、うごうごと動くモノが居るのだ。
隅々まで。立派な傘の、末端に到るまで。

あの、蠢く小さなモノが詰まっている。



激しく、気味が悪かった。



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