奥の茶葉
□3時間目の生物
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今日も来た…
ボクは羽を目一杯に広げて脚に力を込めた。
臨戦態勢だ!
ボクの寝床の扉が開き、ひしゃくを片手に持った人間の女が入ってきた。
来い!ボクの寝床を荒らしたことを後悔させてやる!
ボクは羽をばたつかせながら、脚の爪を女へと向けた。
「コケー!!」
「コラ!ピー助!大人しくしなさい!」
女はボクに向かって何か言っているが、ボクは聞かない。命乞いならボクのテリトリーに入る前にするんだったな!
ボクは強いんだお前なんかに負けないぞ!
「コケ、コケ、コケー!」
「はぁー、毎朝、毎朝…」
ボクは右、右、左と脚を繰り出すが、上手く人間の女まで届かない…
す、少しはやるようだ、な…って、痛!
人間の奴ひしゃくで撲ってきやがった!
痛い、痛!
…はぁー、はぁー、強い…でも、ボクは負けないぞ!ボクは強いんだ。
「コケー!」
ボクが渾身の一撃を繰り出すと目の前に金網が迫ってきて、ボクはそれにぶつかってしまった。
どうやらボクの寝床の扉がしまったようだ。
そうだ!人間は?
僕がキョロキョロと辺りを見回すと、人間の女はボクの寝床からどんどんと遠ざかって行く途中だった。
やった!ボク、自分の寝床を守れたんだ!
さっすがボク。強い!
ボクは達成感に包まれて守り抜いた寝床を見回した。すると寝床のあちこちから、美味しい臭いが立ち込めてきた。
ご飯だ!
ボクはそこが、たった今まで戦場であったことを忘れて、勝利の宴に酔いしれた。
そういえば、昨日も人間と戦った後にご飯が用意されてたけど、一体誰が用意してくれてるんだろう?
世の中、優しい鶏もいるんだねえ。
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