新しい茶葉
□アラベスク
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「67点!」
「負けたよ、48点。」
放課後の屋上。
よし、取り敢えず目標クリア!
全科目捨ててまで日本史に賭けたんだ。そもそも牧野に負けたら意味がない。
「これで、牧野とダチで居られるー!」
思わず叫んだ後気づいたけど、ここが屋上で良かったわ。
「……」
でも、牧野は浮かない顔…
あれ?もしかして、本気で牧野はオレと離れたかったのか?だとしたら、今回のオレの努力も迷惑だったかな。
…おかしいな……オレらしくない。頬を何かが伝うや。牧野と顔を合わせてないからいいけど、なんか…上手く言えないけど、なんか。
「…じゃん。」
俯きかげんで黙っていた牧野が口を開くが、何を言ってるのか聞き取れなかった。
オレが鼻を啜ると牧野はもう一度言ってくれた。
「やれば出来るじゃん。」
…
……なんだ。オレ、ちっせー。こんなに理解してくれる奴が近くにいるのに…気づかないなんてな……
「牧野…」
「なんだお前!?そんなに嬉しいのかよ!」
鼻声で言ったオレを見た、牧野は驚いたような声で言った。
オレは涙をそでで拭って、牧野の方を向いた。
「牧野、それでオレ…日本史以外の科目、全部赤点なんだよね。だから…ノート貸して。」
笑顔で言ったオレを牧野がノートでひっぱたく。
「馬鹿!!」
乾いた良い音がした。
―終―