奥の茶葉

□あの丘 あの星
1ページ/3ページ

沈みかけの太陽
丘の草は茜色に染まっている
町外れにあるこの丘の上に僕は座っている
伸びる影はたった一つ
僕から伸びている
去年は君がいた
二つの影が伸びる丘の色は今と同じ茜色だった
去年君が誘ってくれた
流星群を見に行こうぜ
僕は星が落ちるのを見て何が楽しいのかと思いながら君について行った
茜色に染まる丘で君はいろいろなものを見せてくれた
星座の本
双眼鏡
小型望遠鏡
星座早見表
流れ星についての話をしてくれている間に辺りが薄暗くなって
本が見えなくなっちゃったね
野犬の吠え声に怯える僕を励まして
さぁはじまるよ
と言った君
すると一つ二つと降り出す星
ため息がでた
…綺麗
君も黙って星を見上げている
門限までの2時間はあっという間だった
最後には勢いの弱くなった星を見てもっと降れと思った
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ