新しい茶葉
□アラベスク
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『三年生の皆さん。今年は受験の年になりました。そろそろ心を入れ替えて、休日は十時間、平日でも最低五時間は学習するようにしましょう。努力は必ず…』
「……ムリでーす!」
『進路だより』と書かれた緑色のプリントを、ニヤリと笑ったオレは綺麗に破り捨てた。誰もいない屋上…体育の授業が行われているグラウンドに向かって、今は只の紙切れになった警句が飛んで行く。
「オレは一日に一時間未満しか勉強しちゃいけないって決めてるの!」
高らかに宣言したオレ、あ〜サボリ最高!!
「丹羽さん、それ胸張って言うことじゃないです…」
あれ?ナンデ牧野ガ、ココニイルノカナー?
「丹羽、お前出席時数が…」
「計算済み!」
「赤点を取ったら…」
「大丈夫。全科目でギリギリ赤点を回避するのに必要なのが、一日ジャスト一時間の自主学習なのです。」
先生にオレを呼びに来るように言われたらしいコイツに、屋上から引きずり下ろされながら、オレは答える。牧野修一。一応、オレのダチ。まあ、本心じゃオレのことウザイとか思ってるかもだけど…
とりあえずはこんなオレと仲良くしてくれている。
「……」
「他にご心配ごとは?」
黙る牧野にオレは話しかける。
「もういい。」
あれれ?怒らせちゃったかなあ?