新しい茶葉

□出会い
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風が吹いた。

ホーに取っては何度目の秋だろう?
孤独な籠の中、一羽店先に並べられた憐れなふくろうは思う。
彼は雄のワシミミズクで、珍しいことに透き通るような水色の羽毛を持っていた。
そのせいでペットショップの店主からは、「目立つから」と店先の吹きっさらしの糞寒い位置に飾られている。
しかし、そんな目立つ位置にいても、客は水色のふくろうなど気味悪がって買おうなどとはしないのだ。
始めは珍しい、珍しいと近寄って来るが、いざ自分のものにしようとすると気が引けるのだろう。

ホーも老いたホー。

大した歳ではないのだが、羽を伸ばせない籠の中ではそうも感じてしまう。
このワシミミズクはもう何年もここにいる。
周りの鳥や獣が売れても、彼には誰も手をつけない。かといって、客引きに持ってこいの彼を店主は処分する気もないのだ。
彼は最近いささかではあるが、牢名主のような風体をしだした。
籠も牢も似たようなものだ。
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