短編
□バレンタイン
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2月14日。
一般的にバレンタインデート称させるこの日
ほとんどの男子は、女子からいくつチョコレートがもらえるかどうか浮き足立っていた。
だが、何事にも例外はあり
「・・・・・・」
そのいい例に、この雲雀恭弥がいた。
どのくらいになるだろうか・・・、少なくとも一人で食べれる量でないチョコレートの山がある部屋に積み重ねられていた。
ある部屋とはもちろん応接室なのだが。
けれど、肝心の雲雀はそこにはいない。
さてさてこのチョコレートがどうなるカキになるところでもあるが、とりあえず今は雲雀の様子を探るとしよう。
*
某所某時刻
そこでは乱闘?が起きていた。
といっても、弱い不良たちが束になってかかり一人の中学生?にこてんぱんにされたというものなのだが。
「草食動物が・・・よく群れるな。」
「ひぃいいい!!」
そのあまりの強さに、不良は恐れ逃げ出す始末。
雲雀は半ば呆れ、溜息をつく。
彼が今ここにいるのは不良を狩るため45%、逃げるため55%というところだった。
あの風紀委員長が逃げるとは、どういうことなのか。
誰もが不思議に思うところだろう。
「はぁ。どうしようか・・・。」
雲雀らしからぬ溜息がその場に広がる。
ことの始まりは、数週間前にさかのぼる。
*
「そういえば・・・もうすぐバレンタインデーですよね・・・」
「ふぅん。」
「ふぅんって・・・^^;」
「興味ないな。」
「雲雀さんならそういいそうですよね。でも、俺だったら好きな子からバレンタインにチョコとか欲しいです。」
そう、彼はさりげなく呟いた。
そこまでいうなら少しはあげてみようか、なんて気に雲雀もなったのだ。
けれど、次の言葉で"あげようかな"から"あげなくちゃいけない"に変わる。
「でも、忘れるかもしれないしなぁ。まぁそのときはチョコレートプレイってことで恭弥と一緒にもらえばいっか♪」
「・・・は?」
「楽しみにしてるね、チョコレート。忘れるなら、二度とバレンタインが忘れられないようにしてあげる」
終わった・・・
その瞬間雲雀は、絶対にチョコレートを買おうと決意した。
けれど、残念ながら(当然ながら?)雲雀は誰かにチョコレート・・・どころか贈り物をした経験がまったくといっていいほどない。
どうせなら喜ぶものがいい、ということで考えてはいたのだけれど・・・
なんだか気に入るものがなく、そのうち風紀の仕事が忙しくなり・・・忘れてしまった。
そして今に至る。
(適当に何か買おうかな・・・。でも適当って嫌だな。)
けれど、ちょこれーとぷれいなんてもっと嫌だ。
それが一番の思いだった。
そして・・・覚悟を決めてバレンタインモード全快の、見る限り女子しかいないであろうお店に雲雀ははいったのだった。
(平日でよかった・・・。)