Long2

□その恋に花束を
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「・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・」



何故俺がこんなところに・・・

泣きたくなってくるっ


ここは雲雀家のパーティー会場だった。

俺俺言ってるけど、俺は女の子。

沢田綱吉と男っぽい名前だけどれっきとした女の子。

ボンゴレ10代目候補だった。


ボンゴレ家はイタリア有数の名家だった。

表向きは貴族、裏の顔はマフィア。

そして、そのボンゴレと同等の権力を持つ雲雀家。

今回俺がここにいる理由は・・・

その雲雀家の10代目当主、雲雀恭弥と結婚すること。



「・・・はぁ。こういうの柄じゃないんだけどなぁ・・」



ボンゴレ家は今、すこし危ないことになっていて・・・雲雀家と付き合いを始めないと危ないくらいだ。

獄寺君も山本も、みんな俺が結婚することないって言ってくれたけど・・・怖い家庭教師チューターだけは俺に嫁に行けといった(銃をつきつけながら。)

いつまでも子供ではいられなくて、14といえばもう嫁にいってもおかしくもない年頃。

いつまでも嫁に行くな! なんて父さんは泣いてしまって婚約者も作らなかったらしいけど・・・手っ取り早く貴族同士の関係を作るにはこれが一番だ。

と、いうことで俺がいる。



「10代目・・・大丈夫っすか?」

「無理することねーぜ、ツナ。」

「獄寺君・・・山本・・・・。」

「お飲み物でもどうぞ!」

「あ・・ありがとう。」

「にしても、肝心の当主が来ねぇなぁ〜。」




「・・・そうだね。」



キョロキョロと辺りを見回すが、雲雀家当主、雲雀恭弥はいない。

元々パーティーなど・・群れるようなものが嫌いらしく、当主がパーティーに出るなんてことなかった。

今回は特別だ。

雲雀家当主の婚約者探し。

我こそは、というものはこのパーティーに来いと。

並盛を治める雲雀家に近づきたいというものは多いらしく・・・この場にはたくさんの女性がいた。

誰もみんな俺なんかよりスタイルよくて美人で・・・帰りたいっ・・・



「10代目を待たせるなんざゆるせねぇ!!」

「ご、獄寺君!落ち着いて!そして静かに!!」

「ていうかさ、あんだけ表に出てこなかった雲雀恭弥だぜ?婚約者候補として人を集めること自体珍しいじゃねぇか。」

「ま・・まぁな。」

「怖い人じゃないといいな〜。おじさんじゃないことがせめてもの救い・・・」

「ツナより一つ二つ上だっけ?ま、よっぽど不細工だから表に出てこないのかもしんねぇよな〜。」

「えぇー!それはやだな・・・」



俺だって、女の子なわけで・・・

やっぱり好きな人と結婚して、子供産んだりしたい。

まだ初恋すら・・・してないけど。

ぁ、でも、リボーンが一瞬だけ初恋だった(そのすぐ後に銃なんて出したりしなければ。)


不細工だったら・・・ちょっと無理。



「みなさま、お待たせしました。」



すると、上座のほうに・・・不思議な髪形をした男性が現れた。

けつあご・・失礼だね!うん!



「あれ、リーゼントっていうんだぜ?雲雀家に使えてる人間は皆あれなんだってよ。」

「へぇ〜。ていうか、あの人怖そう・・・」

「平気ッすよ!10代目に手を出そうとしたら俺が果たしますから!」

「(笑っていうなー!)だ、ダイナマイトしまってしまって!」

「はい!」



「お集まりいただいたところ申し訳ありませんが、当主雲雀恭弥の体調が思わしくなく雲雀は欠席することとなります。
雲雀の婚約者候補様はどうぞ、本家の方にお越しくださいませ。」



会場にざわめきが広がった。

本家・・・つまり雲雀恭弥の家というわけだ。



「雲雀は、あー・・・大変気まぐれでして、本家で共に生活し、雲雀が気に入ればその方を本妻として迎いいれさせていただきます。」



「・・・ずいぶんと上から目線な野郎だぜ。」

「ツナを誰だと思ってるんだ・・・」

「ふっ、2人とも・・・」



獄寺君と山本は鬼のような形相で男の人を睨みつけている。

俺は止めたけど、他の人も同じようで・・・この扱いに憤慨して早々に会場を立ち去っている人もいた。

雲雀家の名前に惹かれてか、大部分は残っているみたいだけど・・・

・・・帰ったらリボーンが怒るだろうなぁ。はぁ。



「こちらから雲雀家に通じております。が、少々注意事項を述べさせていただきます。」



・・・俺の直感が、よくないと告げていた。

帰りたい。



「まず、当主雲雀恭弥の機嫌を決して損ねぬようお願いいたします。雲雀は少しの音も嫌います。なるべくお静かに。

そして、化粧・香水等はお控えください。当主はそういったものを好みませぬ。

また、人間に対して興味がないといった風もございます。多少冷たくされることはご了承ください。」



「っ・・やだなぁ。怖いっ・・・」

「ツナ・・」

「10代目・・・」

「でも、頑張ってくるね。」



俺が行かないといけないわけだし・・・

何とか笑って、俺はあの男の人についていった。

何百人と言う女性と一緒に。
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