Long2
□デザートは食事の後に♥
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沢田綱吉は極普通の少年だと・・・少なくとも自分ではそう思っていた。
どれだけ人よりも要領が悪く不器用で運動が出来なくて頭が悪くとも・・・
普通の人間だと。
その事実が覆されたのは・・・彼が並盛中学校に入学する直前のことだった。
ビビビビビビビビビッ!
「ひっ!な、なに!?」
入学式に出るため、並盛中学校に足を踏み入れたとたん・・・体にゾクリと嫌なものが走った。
そして、どこから現れたのかたくさんの黒服の人間が一斉に自分のところに向かってくる。
何かを考える前に、綱吉は走って逃げていた。
いくら運動が出来ないダメツナだろうと、命の危険が感じたときには全力以上の力を出す。
そして、運のいいことに綱吉の直感は鋭く・・・何とか体育館裏の林に逃げ込んだ。
のだが・・・
ガサガサガサッ!
「っ!!」
怖くて、顔をあげられずに下を向いた。
目を瞑り、耳を塞ぎ一切何も見ない聞かないようにするが・・・残念なことに声が聞こえてしまった。
「ワオ。ずいぶん小さな侵入者だね。」
「え、わっ!!」
グイッと腕を引っ張られ、無理やり立たされる。
綱吉の前に、綺麗な顔がドアップになった。
黒い髪に黒い目。
誰が見ても美人であろう男子は綱吉を見てクスリと笑った。
"ずいぶんと小さい"
その言葉に、嫌悪感を抱き恥ずかしくなった綱吉だが、彼の持っている銀色の物体でそんな気持ち一気に吹き飛び
恐怖が心を占める。
「ひっ・・・」
「僕の敷地内にはいるなんていい度胸じゃない?そんな顔しといて・・・」
「な、なんのことでっ・・・」
「とぼけるき?まぁ、いいけど。」
「やっ・・!!」
目の前でトンファーがキラリとひかる。
それは、まっすぐ綱吉に向かって振り下ろされた。
あまりの恐怖にぎゅっと目を瞑り、無駄だと知りながらも手で顔を庇った。
・・・が、いつまでたっても衝撃は来ず・・・綱吉は恐る恐る目を開ける。
「早く変化しないの?」
「はい?」
「つまんない。君みたいな弱そうなの咬み殺しても面白くないんだよ。早く姿みせなよ。」
「す、すがたって・・・・?」
「とぼけないで「キシャァァアアアア!!」!」
耳を貫くような音に、ビクリッと綱吉は肩を揺らした。
目の前にいるものが信じられず、あ・・・あ・・・と恐怖で口を大きく開け目を見開いている。
目の前には・・・この世のものとは思えない・・・"化け物"がいた。
「血゛ぃ・・・血゛ぃ・・・うまそうな血゛ぃぃいいいいい!!」
「ぎゃぁぁぁああああ!!」
「は?」
あまりの非現実的な出来事に、綱吉の頭はクラッシュし・・・
悲鳴をあげて気絶してしまった。情けないことに。
ドガッ
「この子・・・なに?」
いとも簡単に、化け物を倒してしまった少年は首を傾げながら綱吉をトンファーで突っついた。
けれども、綱吉はうなされるばかりで一向に起きる気はいなかった。
少年はしばらく考え込んだ後・・・結局綱吉を背負いその場から消えた。