Long

□Vampire'Doll
2ページ/24ページ

「ハァ・・・ハァ・・・っ・・ハァハァ・・・・」



暗い廊下を走る1つの影。

何かから逃げるようにその顔は必死だった。



後もう少し


後もう少しで扉のドアノブにってがとど「みーつけた。」



ガンッ



もう少しで自由になれた・・・・

それなのに、扉の目の前で頭をわしづかみにされ体を床に抑えつけられる。

その力の強いこと。

雲雀は、悔しそうに、震わせていた拳をぎゅっと握り締めた。




「これで脱走失敗100回目だっけ?おめでとー。なんかお祝いでもしようか?」




頭の上から男にしては、まだ少しトーンの高い声が聞こえた。

至極楽しそうな・・・意地悪い声。

顔を見なくてもそれが誰なのかぐらい分かる。



「沢田ッ綱吉っ!!」



悔しそうに雲雀は顔を歪める。


沢田綱吉・・・それは、吸血鬼を束ねるボンゴレ一族の頂点に立つものであり、雲雀の主の名。

綱吉は雲雀の体を一瞬解放すると、首を掴んで近くの壁に押し付けた。




「ゲホッ・・うぇっ!!

「いい加減諦めたら?恭弥は俺の所有物なんだからさ。」

「ふんっ。僕は・・・君の物じゃないっ!!」

「そんなこといったって恭弥は俺の花嫁様なんだから。恭弥がいないと俺生きていけないー。」

「冗談でも気持ち悪い。」

「そう?」

「僕は「ほら、戻ろうか(にこっ」っ!」



顔は笑っているけど、目は笑っていない。

口調は有無を言わせないような束縛感がある。

これに逆らえばどうなるか、雲雀は身を持って教えられた。



カタカタ体が震えるのを必死に抑え、悔しそうに下唇を噛みながら下を向く。

綱吉は満足そうに笑うと、そっと雲雀の耳元で囁いた。




「可愛い可愛い俺の恭弥。」













――可愛い可愛い俺のお人形――













その言葉はゆっくりと雲雀を縛りつけ蝕んでいく。

あくまで主は綱吉。

逆らうことなど出来ず、雲雀はゆっくりと綱吉に倒れていった。


夢だけはよい物を
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ