*短編*

□mistake
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「謙也さ-ん」


昼休み、
お弁当を食べていると
光が来た


最近、光はよく3-2に来る
謙也に会いに来るために


多分、光は謙也が好き


…私の勝手な推測だけど


光のことはわかる
私が光を好きだから
私の目には光しか映ってないけど
光の目は違う
光の目はいつも謙也を映してる



謙也を恨めしいとは
思わない


いや、思えない


謙也は私の大事な親友だから
むしろ幸せになってほしい
私は、光を見てるだけでいい
醜くてゴメンね光、


でも、


もう少しだけ好きでいさせて


「謙也さ-ん」


今日も光は来る
謙也に会うために


今日はいつも以上にスキンシップというか
謙也が光を見る回数が多い気がして
少し不快な気分になってしまった
まだ、光を想ってる
好きという気持ちは更に深さを増し
心を満たしていく


こんな醜い自分が嫌で
机に顔を伏せる
胸が少し痛くて、
今にも泣きそうで
辛いという気持ちは私を更に更に乱していく


「名無しさん、先輩?」


ふと光の声がして、
ばっと顔を上げた
見れば私の席の隣に座ってて
謙也も私の前の席に座ってる


『あ、うん?』
「大丈夫スか?」


心配そうな顔で光は私を見つめる
胸がドキンと跳ねる
忘れなきゃいけないのに
忘れなきゃ前に進めないのに


『全然大丈夫だよっ!』
「なら、ええです」


柔らかく笑う光が愛しくて堪らない
これ以上好きになっても何の意味もないのに
そう自分に言い聞かせ、
平常心を必死に保つ


「…光、そうなん言うためにここ来たわけじゃないやろ?」


少しの沈黙の後、
ニヤけながら謙也が口を挟んできた


「わ、わかっとりますから」
『?』


何を言ってるのかわからず、
頭にハテナを浮かべていたら


「…先輩、好きな人います?」


光が聞いてきたのはそんなことで
好きな人…
光だよって言いたい
言えるものならば


でも、
言ってはいけないから
言ったら
光を傷つけてしまうから
この気持ちは誰にも話してはいけない


『ううん、いないよ』


精一杯の作り笑いで
好きな人に嘘をつく
胸が痛くて堪らない


『光は?』


聞いてから、後悔した
自分はどうしてこんなにもバカなんだろうって
自分から傷つきにいこうとしてる


「はい、いまスわ」


そういって微笑んだ表情は
謙也と話すときの表情で
よっぽど光は謙也を好きなんだなっておもった


「…コイツなあ、めっちゃソイツんこと好きでなあ、」
「いつもは見とるだけやったんやけど、今日はその子寂しそうな顔してたから」
「勇気出して話し掛けにいくんやって」


ニヤニヤと頬杖つきながらそう言ってきた謙也


「っ!うっさいわボケ!」


光は途端に顔を真っ赤に染めて
謙也をせめる


『…え!?』


いつもは見てるだけで
今日勇気出して話し掛けた?
ということは…


『光の好きな人って謙也じゃないの!?』


「「は!?」」


「先輩何を言うとるんですか、こんなヘタレなんか好きになるわけないやろてかなんでBLやねん、ちっとも興味ないわ」
「何がヘタレやねん!お前かて告白もできてへんくせに人のこと言うんやめろや」


そして、私には新たな疑問が浮かんだ


『光の好きな人って誰?』


明らかに戸惑いの表情を浮かべる光に
なんとなく聞いてはいけなかったのかと思った


『ゴメン、困らせちゃって、無理して話さなくていいから、』


二度目の作り笑い
ホントは聞きたくて仕方がないけど
光を傷つけたくないから我慢する


「ホラ、今告わんでいつ告うん?」
「うるさ、わかっとりますわ」


さっきから2人の会話がよくわからなくて
相変わらずハテナ浮かべてる私に
光がおもむろに口を開いた


「俺の好きな人は…」
「躊躇すんなや」
「ヘタレは黙っとれ、…っ、先輩、俺…先輩が好きなんスけど…付き合って下さい」
『え!?』
「…気は使わんといて下さいね」


嬉しさで頭がいっぱいで
話が整理出来ない


『…あ、私も光、好き』
「え、マジですか!?でもさっき…」
『あれは光が謙也のこと好きだと思ってたから…』
「んじゃ、付き合うて下さい」
『喜んで!』
「コイツ、そうとう名無しさんのこと好きやから、大事にしてあげてな」
『もちろん!』
「うるさいわ、タコが」


差し出された手をギュッと握りあい微笑みあう
嬉しくて堪らなくて流れ出した涙は
今まで泣けなかった分と今日の分


『光、大好きだよ!』
「俺もですわ」


抱きしめあいながら2人、
愛の言葉を言い合う


光は絶対離さない、
いや、離れない
そう、胸に決めた瞬間だった


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テスト前に書き上げました第4弾!
微妙に腐っていうね笑
 

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