*短編*

□Capture
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「『あ、』」


校舎を出れば、
外は一面真っ白だった


彼女は嬉しそうに
辺りを走り回る


ぽふっ


「…なんね?」
『雪合戦しよ-』


雪玉を持った名無しさんが
雪合戦を挑んできた
俺は雪玉を作り
逃げ回るユウ目掛け
ぶつけようと試みる


が、


逃げ回る名無しさんを見て
何となく不安になった
そのうち、
俺の前から居なくなってしまうのではないかって


そう考えたら
止まらなくなって
逃げる彼女を後ろから抱きしめた


俺の腕の中で暴れる
小さな物体を
離さんと言わんばかりに抱きしめる


「…捕まえたばい」


『ちー』


不意に名を呼ばれ
ユウはくるり向きを変え
俺をじっと見つめる
こういう時の名無しさんは
いつもとは違って
凄く勘がいいから
凄くタチが悪い


『逃げないよ』


だから離さないでね?
なんて言われて
やはり俺の思いは
見透かされていたんだと
少し悔しくなる


でもそれより
わかってくれていたのだということが
嬉しくて


何度も愛の言葉を奏でながら
小さな体をぎゅうぎゅうに抱きしめる


彼女はもう
俺と言う名の檻の中
なにがあろうと
抜け出すことはできない


「逃がさんたい」


名無しさん、
俺なんかを好きになって
可哀相に


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テスト前に書き上げました第9弾!
ラストは初のちーちゃんです^^
いやぁ、方言がとてつもなく難しかったです><
 

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