イナイレ小説(腐)

□空の上にて。
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「オレを海に帰してくれぇぇえ〜っ!」
綱海さんらしくない、弱気に震える絶叫が、ジェット内に響いた。
(イナズマジャパン専用だからいいものの…)
大声の発信源、俺の隣にいる綱海さんを横目で見た。
「飛行機だけは…だめなんだよ…マジで…」
顔色を真っ青にして、綱海さんはしょぼんとうつむいていた。いつも男らしいとばかり思っていた綱海さんの意外な弱点に、俺は思わず微笑んでしまっっていた。
「たーちーむーか〜っい!」
いきなり不意打ちで抱きつかれた。嫌では無いのだが、まわりが気になる。…が、まわりの人達もけっこういちゃついていた。
綱海さんを挟んで隣の雷電さんがクチパクで何か言ってきた。
『気にすんな!…にしても、アツいなお前ら』
っな、なんなんですか雷電さんってば!
(そんなこと言われると、よけい恥ずかしいし…)
「綱海さん…なんですか?」
はやく離れてほしくて、思いっきり綱海さんの体を押しやったが、びくともしない。俺の体をがっしりとらえたまま、綱海さんがお願いしてきた。
「あのさぁ、立向居があるコトに協力してくれたら元気になれんだけど、手伝ってくれるか?」
この恥ずかしすぎる状態から逃れるには綱海さんに元気になってもらわないと無理なようだ。こくりとうなずいた。
すると綱海さんはにやりと笑った。
(嫌な予感…)
「簡単だぜ?…キスしてくれ!お前からな☆」
協力するなんて言わなかったらよかった。
自分からキスなんて…想像するだけで顔が赤くなった。
「…っ、他のにしてもらえませんか?」
聞きながらも分かっていた。綱海さんのこの表情、完璧に心は決まっている。
「そんな可愛い顔して言われてもなぁ?ここでヤらせてくれんならいいけど?」
選択支はもうなかった。
「…キスにしときます」
顔が火照っているのが自分で分かった。
何故飛行機内でこんなに恥ずかしいことをしなければならないのか。
決心できなくて、ジト目で睨みつつ訊ねてみた。
「本当に、これで元気になるんですかぁ?」
大きくうなずかれてしまって、もう逃げられなくなった。心を決めて、綱海さんを見つめようとして…やっぱり目を閉じた。このほうが恥ずかしくない。
そっとくちびるを近付けると、綱海さんのくちびるにふれて、すぐ顔を離してしまった。
綱海さんから全力で顔をそらしつつ、熱くなった頬を両手で押さえた。
(恥ずかしい…っ)
後ろから綱海さんが抱きついてきた。
「立向居可愛すぎるだろーッ!!」
恥ずかしいったらなかった。
(もう、この人は)





少しだけ幸せだなんて感じてしまったことは絶対に言わない。

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