創作短編

□心臓のはなし
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私は色んなもので形成されている。
名前をあげていったらキリもないくらいのたくさんの物で。

もしも私が死んでしまった時には、小腸でも肝臓でも眼球でも、顔も知らない貴方へ何でもあげる。
でも、ひとつ。
ただひとつ、心臓だけは取らないで。
私が「生きていた」時に、脳と同じくらい「私」に直結していた物だから。
それだけは私のものでいさせて欲しい。

私が生まれてきてから止むことなくその鼓動を刻んでくれた。
だから私は最後まで一緒にいたい。
頑張ったねって、今までありがとうって撫でてあげたい。
休むヒマなんて無かっただろうから少し休憩しよう。
そして次に私が生まれ変わったときはもう一度、よろしくお願いします。








end.
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