創作短編

Dandelion is
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 あなたはタンポポという花を知っているでしょうか?というか知っていないと困るんですが。

 あのどこででもよく見かけるタンポポですが、あなたはどんなイメージを持っていますか?
アスファルトであろうと咲き誇ることのできる生命力の強さや、綿毛になったときのフワフワとしたかわいらしい姿を想像すると思います。色合いから見てもプラスのイメージなんではないでしょうか。



 でも、それだけだと思っていませんか?




Dandelion is




どこからか飛んできたタンポポの種が、ベランダに放置されていた巨大な植木鉢から芽を出したのが始まりだった。
我が家はマンションの5階という結構な高さを陣取っていたこともあり、よもや植物の種が飛んでくるとは思ってもいなかった。
そのためか、少しテンションがあがってしまったのだ。

「よくここまでたどり着いたな。よし、私が養ってやろう」

と唐突に思い立った。
思い立てば吉日とはよく言ったもので、すぐさまアンバランスな巨大な植木鉢から手のひらほどの植木鉢へと引っ越しをさせ、よく言えば機能的、悪く言えばごちゃごちゃした私の部屋へと連れてきてしまったのだ。
そして、

「取りあえず、光合成をさせておけば大丈夫
だろう」

早くも適当な知識を発揮し、窓際の勉強机に何とかスペースを作り、新聞紙を引いた上にその植木鉢を乗せてみた。
まあ、見目には多少問題はあるが、うん、悪かない。

それから三日。
なにぶんタンポポやら植物をまじめに育てた経験はなく、夏休みの朝顔も枯らしていたので、どうすればいいのか勝手が分からず苦労したが、さすがにアスファルトをものともしない強さと生命力、水をあげておけば問題なかった。
よく友達からも「三日坊主の和尚」と呆れられていた私でも、日々変化していく植物の様子は面白く、毎日飽きずに水やりもできていた。


 が、四日目。異変は起こった。
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