頂き物小説

夕焼け山椒魚
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 『夕焼け山椒魚』

向こうに見えるのは何ぞ

赤いなあ

儂にもわからんぞよ


やや ひれがあるぞ

尾ひれか背びれか胸びれか

何だ 魚か


鯛か

カサゴか

それとも食えぬ魚か


近寄ってみるか

おう 見ようぞ

さあ 見ようぞ


おいおい足があるぞ

四つ足だ

魚にあらず


トカゲかの

いやいや山椒魚に似てるぞよ

しかし薄紅だ


山椒魚はもっと苔むした石のような色ぞ

しかし格好が似てるぞよ

白子(※アルビノ)かもしれぬ


なるほど白子か

ああ 眼も赤い

肌も白い


はじめて見たぞ

俺もはじめてだ

見せ物小屋に売ろうかの


いや それはまずかろう

そうだそうだ

何故じゃ


神さまの使いだったらどうするのだ

この白いのは神聖なものの印じゃろう

……なるほど、神様の使いだったらまずいの


さあ 逃げろ

やれ 逃げろ

神様が待っておるぞ




end

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