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□プロローグ.おひるごはん
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思いっ切り背伸びして、ほとんど上半身をそれに突っ込んで腕を伸ばす。
空っぽの腹が圧迫されて苦しい。
それでも目一杯腕を伸ばして目当てのモノをとろうとする。
すると指先がかすかにソレに触れた。
もうちょっと、と爪先で立ってもっと奥に手を伸ばせば、ようやくソレを掴んだ。
落とさないようにしっかり掴み、体を起こせば久しぶりに地面に足の裏がついた。
その時、ふっと目の前が真っ暗になって思わず尻餅をついた。
グラグラと頭が揺れてうまく立てない。
しばらく目を閉じてじっとしておく。
恐る恐る目を開けば、さっき自分が体を突っ込んでいたそれが目に飛び込んだ。

視線を降ろせば尻餅をついた時にも落とさなかったソレがあった。
ほっとして地面に座り込んだまま、ソレを地面に置いて蓋を開ける。
手掴みで中に入っていた食べ物を口に運んだ。
1日ぶりの食事に空っぽだった腹がくう、と頼りなく鳴る。
今度は両手で掴んで食べる。
口元に食べカスがついてしまうが気にする余裕はない。
ただ無心で食べつづけた。

最後の米粒を一つ口に運んで飲み込んだ。


ああ、これで明日まで大丈夫。

満腹で少し眠くなって瞼が重い。



だめだ、急いで帰らなければ。


ゾクリと体が寒くなった。
そうだ早く帰らなきゃ。


足を縺れさせながらも立ち上がった。
体のいたるところを叩いて体についた砂を払う。
食べ物の入っていた容器は、さっきまで自分が体を突っ込んでいた大きな屑カゴに戻した。

小走りで公園を出て、家に戻る。
屑カゴには空っぽのコンビニ弁当の容器だけ残った。








end.
(2010.09.27)

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