折原家2
□初めての言葉
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双子の肌はまだまだ気持ちよく、触り心地も最高だ。
もちもちと二人の肌を堪能していると旦那―――折原臨也も会話に混ざってきて、
娘を触りたそうにこちらにやってくるとそのままソファに腰掛け、膝に佑梨を乗せてちょっと御機嫌だ。
そんな中、娘はケラケラと楽しそうに私の顔を見つめながら笑っており、この空間にいるのが楽しいのかもしれない。
娘の楽しそうな顔を見ているとこちらまで楽しくなってきて、[楽しいねー]と猫なで声で声をかければ[ぼくにはー?][あたしには?]と口を突き上げて不機嫌そうだ。
「お前達はお姉ちゃんとお兄ちゃんだろう?少しぐらい佑梨に譲ってあげなきゃダメじゃないか」
「パパに言われたくなーいっ、一番ママをゆずられたくないくせにぃ」
「佑梨にしっとしてるくせにぃ」
「流石にまだ1歳にもなってない娘に嫉妬する程、器が小さい大人じゃないさ。それぐらいは譲ってあげられるよ」
『へええぇ……。譲ってあげられる、ねぇ。あの事言ってもいいのかなぁ』
「?」
「なになにっ!?教えて教えて!」
「知りたいっ」
双子の態度に娘を抱っこしながら、足を動かしたり、手を動かして遊んでいた臨也が父親らしい事を口にするが、
いつもの事があるので二人には全くと言っていい程説得力がなく、逆に子供達に反論されてしまった。
そんな会話を聞いていた私はジト目で臨也の顔を見て、時々ある彼の厄介な部分を口にしようとすれば、双子はキラキラ目を輝かしながら、旦那は[何の事?]とばかりに首を傾げている。
『佑梨が生まれてから川の字で寝る事が多くなったけど……パパ、娘をほったらかしにして私の方に来たかと思えば、抱き着いてそのまま寝てるよね?それを譲ってる、って言えるの?』
寝ぼけているのか、それとも起きていて、子供に嫉妬したのか解らないがそれが数日に1回のペースであり、朝起きたら隣に臨也が寝ていて娘はどこ行った、
と慌てて探せば彼の背中で気持ち良さそうにくっついて寝ているのだから、彼の血は受け継がれているのだろう。
「…………」
「やっぱりパパ、ゆずってないじゃん」
「人の事言えないよねー」
『本当本当。パパはそろそろママ離れをするべきだと思う』
「ママ離れって何?俺は別に君と離れられないってわけでもないし、いつでも別居してもいいんだよ?」
「本当ー?」
「ママがいっつもパパは[5分ぐらいで電話かかってくる]って言ってるよ?」
「用事があるからね、それは仕方ないだろう?それにそれで助かってる部分もあるんだから、特に問題はないと思うけどねぇ」
『まあそうだけど……じゃあ今日からお試しで仮別居ね。寝るのも別だから』
「それでも構わないよ。後で一緒に寝たいって言っても部屋に入らせないつもりだから、そのつもりでね」
『はーい』
―――どのぐらい持つのかちょっと楽しみ……。
いつも色々な理由を付けて私に会いに来る臨也が今日はどのぐらい持つのか、一人で静かに寝て本当に私と言う存在がなくても過ごして行けるのか、少しだけ気になる部分ではある。
まあ一人で一日過ごされたらちょっとだけ寂しいので、願望は私が寝る前に会いに来て欲しい所ではある。
―――――――……
数時間後 子供達の寝室
愛子視点
『お邪魔しまーすっ』
「あー!」
「ママも佑梨もいらっしゃーいっ」
「今日は4人でねるんだよね!楽しみ!」
宣言通り、私は仕事をしている彼に[それじゃあ寝るね]と一言言って、いつもの彼の寝室ではなく子供達の部屋となった小さな部屋に娘を連れてやってきた。