折原家2
□1日のんびり
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だが、だからといって軽視していいものでもなく、まだ1歳にも満たない子供が私達の隣でスヤスヤ寝ている間はできるだけマスクや手洗いうがいを徹底した方がいいだろう。
まあ手洗いうがいは新型ウイルスが流行らなくても気をつけた方がいい事なのだが。
「ねえ、パパーひーまー」
「ゲーム買ってよぉ」
「ゲーム、ねぇ。買うのは簡単だけどお前達は飽き性だからね、それが荷物にならないとは限らないじゃないか」
「ええええ……じゃまにはならないよっ、今いーーっぱいゲーム出てるんだよ?!パパもすきなゲーム、あるかもしれないよっ」
「とーとはどんなゲームがすき?」
「好きなゲームか。考えた事もなかったな。携帯のアプリとか、お前達が言うようなゲームなんて俺の時代にはなかったからねぇ」
『欲しいとか思った事ないの?パパって興味があるものにはすぐお金使いたがるから……』
「ないね。それに俺の友人っていったら新羅ぐらいだからさ、その新羅だってやっていなかったのに一緒にやろうとなんて思わないよ」
『……納得。でも、子供達とやってみればいいんじゃない?ほら、今はみんなでやれるゲームとかいっぱいあるし』
私も友人の受け売りというのか、入れ知恵というのかそういうのなのできちんとした情報はよく解っていないが、
たまにテレビのCMで家族4人で対戦のような事をやっているのを見て[こういうのが1つあっても楽しいだろうな]なんて思った事がある。
―――私も狩沢さんから借りたゲーム、自分で欲しいって思った事あるし……。
友人は恋愛ゲームだったり、ちょっと口では言えないゲームだったり、シュミレーションだったり、
その時に彼女がハマったゲームを貸してくれるので双子よりは詳しいかもしれないが、借りたゲームなので返さなければいけないわけで。
いつでもいいよ、とは言ってくれるが私の方が気になってしまって途中で返してしまうので自分で最後までできたらいいな、とは思っていた。
だが、臨也も子供達もゲームをやらないのに自分だけ買ってもらうわけにもいかないし、ゲームの中だとしても、恋愛ゲームなんて買った日には本気で彼に嫌われそうだ。
「パーパー、ゲーム―っ!ちょっとだけでもやってみようよぉ」
「とーとの方がねっちゅうしちゃうかもしれないよ?」
「……。少し考えさせてもらっていいかな。別に俺はお前達に意地悪してるわけじゃないんだ、それは解るよね?」
「……分かってるよ。でも、パパだってあたしたちがほしいのは分かってるんでしょ?」
「分かってるよ、お前たちの事だからね。お前達のこれからのコミュニケーションにも繋がるだろうし、
時々友達が持って来てるのは知ってるさ。でもだからってそんなにホイホイ買ってあげられる程、俺も優しくないんだよ」
双子の頭を優しく撫でる臨也。
彼の中にも色々な感情があって、なかなかそれを受け入れるのは難しい事なのだろう。
まあだからといって頭の固い彼でもないので、単純に二人がこの先、それを使ってくれるのかという心配をしているのだろう。
『じゃ、じゃあさ……今度の私の誕生日、ゲーム買ってよ』
「……は?」
「あっ、あたしも!ゲーム買って!」
「ぼくもゲームがいい!」
「……急に何を言い出すかと思えば、君も欲しかったの?」
『うん、実は……気になってるゲームがあって……ちょっとやらせてもらったら面白くてさ』
「ママだけズルいっ!」
「ぼくもゲームやりたいっ」
流れに乗るには今しかない、と自分の意見を主張すれば臨也は間抜けな顔をしながら驚いていた。それに乗るように二人も口を開けば、大きな溜息を吐き出し、頭を抱えている。