折原家2
□1日のんびり
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<1日のんびり>
新宿 某マンション
愛子視点
新型のウイルスによって子供達は後2週間ほど学校に行かなければいけなかったのだが、春休みが夏休み程の長さとなり、急かされるように色々な荷物を持って帰ってきた。
それから二人は毎日家で過ごしているわけだが、最初のうちは[まいにち家にいられるっていいねっ]と喜んでいたが、1週間もすれば飽きるわけで。
二人は毎日[パパ―、何かやる事ないのー?]と机にべったりだ。
「俺の机にいた所でやる事なんてできないよ?子供は子供らしく、部屋で遊んで来たらどうだい?」
「あーーーきーーたーー!パパ、ゲーム買ってくれないしっ!ゲームないからやる事ないもん!」
「ゲームあったらしずかにしてるのになぁ……。ゲームないからなぁ」
「……それは俺が悪いって言ってるの?今までお前達だってゲームが欲しい、なんて言った事がなかったじゃないか。こんな時だけ俺のせいにするのは止めてもらっていいかな」
「パパがわるいー。パパが[ゲームほしい?]って聞いてくれないからほしいって言わなかっただけだもーん!」
「とーと、いーっつも[ひつようないだろう?]とか言って買ってくれないし!」
「…………」
―――今日も今日とて3人は仲が良いなぁ……。
こうやって言い合いのような話ができる、というのは父親を怖いと思った事がないからであり、父親も子供達に甘いのを知っているからである。
実際旦那は子供達に凄く甘いし、毎日のように自分の机に来てくれる事を本当は嬉しく思っているが、なにぶん彼も仕事があるのでなかなか構ってあげられない。
そして、忙しい時もあるのでなかなか優しく二人と話をしたりする事ができないのだ。
まあ私の予想なのでもしかしたら違うかもしれないが、彼の顔を見れば決して嫌がっているようには見えないのでそういう事なのだろう。
『……君も飽きないねぇ。そんな顔で俺達を見てるなら何か言ってやってよ。自分の責任を俺に押し付けるなってさ」
『どんな顔をしながら見てたのか解らないけど……パパには強い味方がいるじゃん。それを使えばいつだって子供達の願いを叶えてあげられるんじゃ……?』
「そうだよっ、パパ、パソコン持ってるんだもん!ネットで買えちゃうんでしょ!」
「とーと、自分でじまんしてたよね![今の時代、指一本で買い物ができちゃうんだから、べんりな時代だよねぇ]って!」
「…………」
2人の言葉を聞いて、大きな溜息を吐き出す旦那。
まさか自分の妻にまでそんな事を言われるなんて思わなかったのか、こちらを見て[どっちの味方なの?]と投げやり気味に問いかけてきた。
『どっち、って言われたらちょっと困るけど……ただ、二人は仕方なく休みの部分があるわけだし、ちょっとは甘やかしてもいいかな、みたいな……』
「それは解ってるさ。俺達のような大人が罹って重症にならなくても、子供達は分からないからねぇ。それに今はまだ小さい子供がいるんだ、注意するに越した事はないよ」
『パパも珍しく外に出る時はマスクしてるしね。そういう所きちんとしてるな、って思うよ』
インフルエンザが流行っている時期でもあまりマスクをしたがらない男―――
折原臨也だったが、新型のウイルスが日本でも出たと聞いてからすぐにマスクの準備を始め、外に出る時は必ずマスクをつけて行く。
その結果、彼が風邪を引く事が少なくなり、新型のウイルスに効果なくても他のウイルスはきちんと防いでいる様だ。
―――毎年やってくれたらいいんだけど……。
毎日のようにどこかで感染が確認されたとニュースがやっており、人々を不安にさせるが、きちんと調べればそこまで必死になる必要はないように見えた。