折原家2

□家の子が一番
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<家の子が一番>


新宿 某マンション

愛子視点


『可愛いねぇ、可愛いねぇ』

「…………」

『今日は機嫌がいいのかなぁ?笑顔が可愛いねぇ』

「…………」

『……何、臨也。もしかして嫉妬してる?』


赤ん坊である娘と遊んでいると旦那が何か言いたそうな顔をしながらこちらを見つめていた。

知らん顔しようかと思ったが、ずーっと見つめられたら嫌でも気になるわけで。

眉を顰めながら問い掛けると[別に]と言いながら携帯の画面を見つめるので疑問符を浮かべながらもまた子供と遊んでいるとやはり視線が気になる。


―――どうしてほしいのっ?!


『臨也ぁ、何、やっぱり自分も頭撫でて欲しかったとかそういうの?』

「別にって言ってるじゃないか。君は気にしなくていいからさ、好きなように遊んでいればいいじゃないか」

『視線が気になるのっ、教えてよ!何が言いたいのか、ハッキリとっ』

「……子供と遊んでる君ってかなり声が高いなって思っただけだよ。顔もニヤニヤしてるし、傍から見たら変質者だよ?」

『うっ……それを言われたら何も言い返せない』


言葉を濁す旦那に思わず強い言葉で迫れば、溜息を吐き出した後に自分から見える私と言う人間を冷静に口にする。

今ここに居るのは旦那と娘だけであり、恥ずかしさも何もないのだが、確かに他の人間から見たら物凄い変な人だろう。


―――甲高い声出して子供に迫るおばさんみたいな……。

―――……ちょっと怖いかも。


「まあここにいるのは俺とその子だけだからね、そうなるのも無理はないけど、もう少し抑えた方がいいんじゃない?」

『だってぇ……すっごく可愛いし、私がくすぐると嬉しそうに笑ってくれるんだもん……』

「君が言いたい事は分かるよ?どんな人間でも動物でも赤ん坊の時が一番可愛いって言うからね」

『ほらぁ、臨也もやってみてよ』

「俺が?何で俺がそんな事をやらなきゃいけないの?」

『娘の可愛さを臨也も味わえばいいんだよっ』

「…………」


機嫌がいい時はこうやってきゃっきゃっと嬉しそうに笑ってくれる。

それが堪らなく可愛くて、上のお兄ちゃんとお姉ちゃんにもこういう時があったのだと思うと懐かしさが溢れてくる。今も十分可愛らしく、私の自慢の娘達なのだが。

私に言われ、渋々と言った感じでこちらへとやってきて娘に触れる父親。だが、何かが違うのか、お気に召さなかったようで娘はほんの少し機嫌が悪そうな顔をしている。


『泣かせたら臨也が泣き止ませてよ?私、疲れたから』

「酷いなぁ。俺がそんな簡単に……って、今泣かなくてもいいじゃないか」

『あーあ、臨也が泣かせた―』


こういう経験も旦那―――折原臨也には必要なのだ。

私が居ない時があってもきちんとお世話できるように、私が寝てても泣き止ませられるようになってほしい。

高い声の泣き声が部屋に響き、臨也は[俺には君の真似はできないよ]と言いながら娘を抱き上げ、[悪かったね]と優しく声をかけながら背中を叩いている。


『お疲れ様、よく頑張りましたっ』

「……俺は母親と言う存在を尊敬するよ」


疲れた顔をしながら娘を降ろし、優しく頭を撫でる臨也。


『うんうん、もっと尊敬してくれても構わないよ。ほら、臨也の事じーっと見てるよ』

「……目は俺と愛子の目を合わせたような色をしてるね」

『あ、本当だ。二人はそれぞれ違うのに不思議―』


娘の目の色は赤茶色といった感じの色であり、本当に私達を合体させたような色で、とても綺麗な色をしている。
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