折原家2
□今年は何をしよう
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先に書いちゃいますw
<今年は何をしよう>
GW前 新宿某マンション
愛子視点
「もうすぐパパのたんじょうびだねっ」
「今年は何やるっ!?大きなケーキ作るっ?!」
『そうだなぁ、何やろっか』
もうすぐ旦那の誕生日。
新しい命にも無事に出会い、休む暇もなく彼の誕生日になろうとしている。
毎年毎年同じ事の繰り返しの筈なのに、毎年ほんの少しだけ違ってくる誕生日。
今年はどんな事が待っているのか、今年はどんなお祝いをしようか―――そんな事を考えるのが楽しみになっている。
「お楽しみの所悪いけど、俺は今年手が空いてないかもしれないよ」
「「!!」」
『え、マジで……?』
「こんな雰囲気で嘘を吐いてどうするの?本気も本気さ。ちょっと動きそうな情報が1件あってさ、それに手を回さないと大変な事になるんだよねぇ」
「たいへん?どのぐらいたいへん?」
「パパがねるの止めるぐらいたいへん?」
「……そうだな、ここで悠長に喋ってる暇すらないぐらい大変かな」
「「えええええええっ」」
―――結構大変じゃん……。
いつもは手は動きつつも話に付き合ってくれたり、手を止めて私達の会話に乗ってくれる彼。
それが喋ってる暇すらないぐらい大変という事は本当に彼にとって重要な事なのだろう。
折角今年は10連休になると、子供達は大喜びし、旦那も[旅行とかいいかもね]なんて話していたのに―――残念な気分になりつつも、子供も増えたので彼なりに考えた結果なのだろう。
『無理だけはしないようにね。何かあって困るのはパパなんだから』
「分かってるよ。無理をするほど大変じゃないんだ、ただ、情報ってなま物だから一瞬でも見逃せばそれは古い情報になるからさ、気にしてないといけないっていう点で言ったら大変かもね」
『ああ……そっちが気になって楽しめないって事か……』
「まあそういう事だね。俺自身の身体はのんびりできるんだけどねぇ」
気を張るというわけではないだろうし、一日中パソコンに張り付いていなければいけないというわけではないかもしれないが、折角の誕生日を思い切り楽しめないと言うのはとても残念な事だ。
―――どうしてあげられないのが残念……。
私達が頑張り、その結果彼の仕事の手伝いになって気になる事が減ればたくさん楽しめると思うのだが、彼の仕事は彼や秘書の波江さんにしかできない。
昔から手伝っていれば少しは変わっていたかもしれないが、彼―――折原臨也は私が手伝うのを好んでいないので今手伝っても完全な足手まといになるだろう。
「パパ、あたしたち何かおてつだいできるっ?」
「とーとのかた、もんであげようかっ?!」
「気持ちは嬉しいんだけどねぇ、残念だけどお前達ができるような事は……いや、そうだな、少し手伝ってもらおうかな」
『……嫌な予感しかしないからダメ。肩もみぐらいで我慢してくださいっ』
「酷いなぁ、別に仕事相手に会わせるとかそんな事しないよ。……まあでも、お前達には肩でも揉んでもらった方がいいのかな」
「ええええっ、おてつだいするんじゃないの?」
「ぼく、できるよ!かたづけもできるし、とーとのつくえにごはんもはこんであげれるし!」
「流石にここでご飯を食べようとは思わないよ。汚したら溜まったものじゃないからね」
―――喋ってる暇もないって言いながらも相手するんだね。
こういう所が彼の良い所だと思う。
目や身体はパソコンを向いていてもきちんと子供達の声は耳に入って、言葉に合せて表情を変えてくれる。