折原家2
□その後の続き
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<その後の続き>
12月24日
愛子視点
「じゅんびするからね!」
「ママ、見ててね!」
『はいはい。怪我だけはしないようにね』
子供達が生まれてから何回目かのクリスマス。
双子は父親が準備してくれたり、買い足した飾りつけを用意し、自信満々に私にそう言った。
今日は子供達の友達がここでクリスマスパーティーをするようで、その準備の為に双子は朝からあれこれと忙しなく動いている。
私としても何か手伝ってあげようかと思ったのだが、二人は[だーめっ][あたしたちがやるのっ]
と言って許してくれないのでソファに旦那の隣に腰掛けてハラハラしながら見つめている。
―――高い所から落ちたりとか……飾りつけが指に刺さったりとか……。
―――心配は尽きないよ……。
「そんな不安そうな顔で見てなくても二人なら大丈夫だよ。それに今回の飾りつけは怪我をするような素材は使ってないから。もしハサミとか必要なら俺がやるって言ってあるしさ」
『……流石パパ……』
ハサミぐらい二人だって使えるし、いつものように使えば問題はないと思うのだが、部屋を好きに飾りつけして良い代わりの父親なりの制限なのだろう。
いくら私達が見ていると言っても、ここにいるのは人間で―――ほんの一瞬、目を離した瞬間思いがけないもので怪我をする、
なんて事も有り得なくもないので例え小学生の高学年になろうとしていても、そこだけは私達は変えるつもりはない。
まあ流石に中学生、高校生になれば旦那も私も[まあ大きくなったし]と思うかもしれないが。
「ここはー……こうかなっ」
「こっちの方がいいよー?これをこうして、こうっ!どう?」
「うーん……じゃあこっちもこうすればもっとよくなるよ?」
「むずかしいねー」
「ねー」
そんな親の心配を余所に、双子は思い思いの飾りつけをしており、サンタさんの飾りつけをどこに飾れば綺麗にできるのか考えている様だ。
―――二人なりのこだわり、って言うやつかな?
「……ねえ、二人ばかり見てないで俺の方も見てよ」
『えええ……パパって何かしてたっけ……』
「してないよ、特に。でもだからって俺を見ない理由にはならないだろう?」
そんな会話の後、何とか決まったのか楽しそうに残りの飾りつけを終わらせていく中で、旦那―――折原臨也がつまらなさそうな顔をしながらそう言って甘えてくる。
二人が飾りつけを始めてからは特に何かをするわけでもなく、ただただ私を見たり、双子を見たりしており、たまに携帯の画面を見るが、ほんの数分なので大した用事はないのだろう。
そんな彼は第三の子供のように[俺も見てよ]と言い続けており、それなら手伝ってあげればいいのに、と思いつつ、とりあえず頭を撫でれば[子供じゃないんだけど]と不機嫌そうな顔をする。
『じゃあパパは何がしてほしいの?』
「……そうだな。俺と面白い話をしようよ。話をしながらでも二人を見る事はできるだろう?」
『……二人が心配なのか、心配じゃないのか解らなくなりそうだよ……』
「心配だよ、勿論。あの子達は運動神経がいいとか言われてるけど、それは小学生の範疇で、だろう?
蓋が開かなくて無理矢理工具を使って開けたら、どこかにぶつけました、じゃ意味ないんだよ」
『まあね。だから私達が見てるんでしょ?それなのにパパったら……』
「でもだからって夫婦の会話がないっていうのもつまらないじゃないか。折角隣に座ってるって言うのに」
『……構ってちゃん……』
私が他の事に興味があるのが嫌なのか、それとも二人ばかり心配するので自分も構ってほしいのか、そんな事を言う臨也の顔は先程とは全く違い、とても楽しそうだ。