折原家2
□甘えたくなる日
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注意書き
特にキャラ崩壊が激しいかも、って感じです。まあいつもの事ですけどね。
<甘えたくなる日>
新宿 某マンション
愛子視点
「パパ、さいきんおそいねー」
「うわきしてるのかなー?」
『仕方ないでしょ、お仕事なんだから』
いつも何をやっているか解らないが、忙しなく自宅兼事務所を歩き回っていたり、出掛けていたり、一日殆ど椅子に座っていたり―――
身体の事が心配な私は毎日のように声をかけるが、[もう少しで終わりそうなんだ]と言って、あまりこちらの話を聞いてくれない。
こういう所はいつまで経っても変わらないな、と思うが熱中できるものを奪う権利は私には無いので無理しない程度に応援している。
もし無理しているのならばあの綺麗な顔の頬が腫れるまで叩いてやろう、そう思いながら。
「ママはさみしくないの?」
「ぼくはさみしいなー。さいきん、あんまりしゃべってないし」
『そりゃあ……寂しいけどさ、でも、仕方ないって言うのは二人だって解ってるんでしょ?』
「……わかってるよ?だって、パパはあたしたちのためにおしごとしてるんだから」
「でも……やっぱりさみしいよっ」
『……そうだね。今日の夜、パパとお話ししてみるよ。もう少しお話ししようって』
本当に忙しい時は私が寝た時に布団に入り、起きた頃には隣で[おはよう]と眠たそうな顔をしながら準備している旦那がいて―――いつ寝ているんだろうと思った事もあった。
最近はやっと落ち着いてきたのか、ほんの少しだけ話す機会があるが、それでも疲れているのか一言、二言喋っただけで相手が寝てしまうので二人に話した内容もきちんと伝わるかは解らない。
―――それでも……ちゃんとコミュニケーションは取らなきゃ、夫婦って言うのは続かないんだよ?臨也。
――――――――……
数時間後 夜
愛子視点
『お疲れ様、臨也』
「ああ、お疲れ。やっと片付きそうなんだ。今まで無理して来た甲斐があったっていうものだよ」
子供達を先に寝かせ、椅子に座る旦那を横目にテレビを見ていると身体をほぐしている姿があったので
ほんの少しだけ雑談するような感じで声をかければ、疲れた顔の相手―――折原臨也がこちらに目線を向け、笑顔で返事を返してくれた。
何だかそれだけでも久しぶりのような気がして―――頬を緩ませながら立ち上がり、彼の方に近付き、そのまま背後から首に手を回した。
「……どうしたの?君の方から来るなんて。でも、まだお風呂に入ってないから汗臭いかもしれないよ?」
『臨也の匂いなら問題ないよ。……久しぶりにたくさん話をしたなぁって思って』
「……。……ああ、そうか。最近は疲れて俺の方が先に寝ちゃうからあまり君と話をしてなかったねぇ」
『……寂しかったんだからね……』
私からの行為だったが、彼は嫌がる事もせずに手を取ってほんの少しだけ甘えるように擦り付きながらそう言った。
「……それなら俺だって同じだよ?君や子供達と話せない間、俺がどんな気持ちでいたと思ってるの?」
『……寂しがり屋な構ってちゃんだもんね』
「寂しがり屋でもないし、構ってほしいわけでもないんだけど。君は本当に俺の事、そういう目で見るんだから困ったものだよ」
『そう見えちゃう臨也が悪いの』
こちらからしたら何か彼が言葉を発する度に[寂しかったのかな]とか[臨也も構ってほしかったのかな]と思う事が多々あった。
もしかしたら向こうからしてみたらそういうつもりはないのかもしれないが、見えてしまうのは仕方ないと思う。