折原家2

□大きな台風
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『でもさ?実際何を準備しておけばいいの?外に出たら危ないだろうし、そんなに持って行けないだろうし……』


まだこちらに来るのに何日もあるのでその間に準備しておけばいいのかもしれないが、まず何が必要なのだろうか。

水と食料、というのは何となく解る。人間が生きていく為に必要なものだし、水は色々なものに使ったりできるのでたくさん必要だと言うのも理解できる。

だが、後は何が必要で、避難する時にどれだけ持って行けばいいのか、という事なのだが―――

子供達はワクワクしたような顔で[いっぱいいるよねっ][でも、たくさんもっていけないよ?]とまるで遠足の準備でも考えているかのようだ。


―――まあ一緒になって考えてくれるのは嬉しいんだけどね。


「水はかなり必要みたいだねぇ。飲料水、トイレ、お風呂……考えてみたら確かに人間は水と共に生きてると言ってもおかしくないぐらいに良く使ってるよね」

『だよね。何か料理するにも水を使ってるし……水は必要だよね。後は……何だろう?タオルとか?』

「タオルもつかうーっ、かおふいたりー、からだふいたりー、けがしたらひつようだしー、まくらにもつかえるよねー」

「あと、おふとんにもつかえる!」

『そう言われるとタオルも重要かも……。二人共偉いね』

「「えへへーっ」」


私ならタオルの使い方なんて身体や頭などを拭くとかそういう誰もが思いつきそうな事しか考えられないのだが、双子はあれこれと柔軟に考え、確かにそれは必要かも、と思えてしまう。


「後は軍手とかじゃない?もしここが満たされるぐらいの雨が降れば、後片付けが必要になるだろう?

その時に怪我をしないとも限らないし、重いものを持ったりするのにも重宝すると思うんだよねぇ」

『た、確かに……。どのぐらい雨が降るかなんて解んないもんね……』


そんな訳がない、なんて思っている事が起きるのが自然だ。

私達が簡単に[こんな所まで]なんて言えてしまうような雨でも、洪水が起きればどうなるかなんて解らない。もしかしたら台風の後には東京が沈んでいるかもしれない。


―――何でもあり、なんだよなぁ……。


そう思うとセルティさんや罪歌などの人間ではない存在よりも、最も身近であり、最も脅威である大自然の方が[非日常]ではあるのだが、

ない時は一切ないし、こういったものでも大体が雨が降って風が強くなったら次の日には晴れている事の方が多い。

なので意志を持ってあれこれと動いている異形達の方に[非日常]を求めてしまうのは仕方ないかもしれないが。


「あとはー……何がいるかなぁ」

「くすりとか、ほうたいとか!かぜひいたらのまなきゃ!」

「タオルがあっても、ほうたいがなかったらむすべないもんねー」

『常備薬かぁ……あんまりそういうのは考えた事なかったなぁ』


そこまで家族や自分が風邪を引く方ではないので常備薬というものが少ないような気がする。必要だったら買いに行く、という事の方が多いのであまり災害が起きてから―――なんてという事は考えた事がなかった。

それに絆創膏だって少ないし、包帯も最近は臨也が怪我をしてこないし、子供達も怪我をしても転んだ、とか指を切った、ぐらいなので少しの絆創膏で足りてしまう。


―――色々買っといた方がいいのかも……。


災害とかそういうのは抜きにしても、常備薬とか手当ができるものとかそういうどこの家庭にでもあるようなものを揃えておいた方がいざと言う時に便利かもしれない。

まあ本当に必要な時は彼の友人である岸谷さんに話をすれば、病院にあるような手当をしてくれると思うので、あまり重要性を感じなかった、と言った方がいいかもしれない。
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