折原家2

□回転寿司
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「それで?この後どうしたらいいの?」

『え……知らないよっ、パパ知ってるんじゃないの?』

「回転寿司なんて殆ど行った事ないから仕組み何て知るわけないじゃないか。君達が知ってると思って、連れてきたのに」


入り口で立ち止まり、どうしたらいいのか悩む私達。

物知りな臨也がいるので、殆ど何も考えずに彼についてきたのだがまさか知らないなんて思わなくて―――とりあえず立ち止まっているわけにもいかないので中に入る私達。

やはり家族連れが多いのか、子供が父親や母親と話をしている所やまだかまだかと待っている家族もいて―――まだ抱っこされているような子供まで一緒にいるのだから驚きだ。


「……とりあえず店員に聞いてくるよ。これだけ待ってる人間がいるって事は何か予約だったり、呼ばれるのを待ってるわけだろう?」

「パパ、さっすがだねー」

「とーと、頭いいね!」

「…………」


人混みの中、臨也はそう言って掻き分けるように歩き出すので子供達は褒めるように、

それでも僅かに馬鹿にしたような言葉に父親は呆れているようで、溜息を吐きつつ、手近な店員さんに声をかけている様だ。


『どうだった?』

「あそこにある機械を操作して、その番号が呼ばれるまで待てば、店員が案内してくれるそうだよ」

『へえ、凄いねぇ』


流石は100円でお寿司が食べられる場所であり、一家族の名前を呼ぶよりも、番号を振り分けて呼んだ方が個人情報としても、お店側からしても良い事なのだろう。

それに機械で順番を振り分けてしまえば、後は空いた席に案内するだけで、接客担当の店員さんは来た家族や友人同士に取り方だったり、

使い方などを説明すればお店は勝手に回ってくれるので後はお金を貰えば済むだけだ。


「おすし、まだかなぁ」

「早く食べたいねー」

『ねー。お腹空いちゃったよ』

「君達も回転寿司を食べたいって言ったからには手伝ってもらわなきゃ困るよ?」

「パパがやってくれるんでしょー?」

「とーと、とくいでしょ、こういうの」

「得意とか不得意とかそういう問題じゃないんだけど」


丁度良く空いていた椅子に腰かけ、呼ばれるのをまだかまだかと待っている双子と、こんなに待つのなら何かオヤツでも食べればよかったな、なんて思っている私。

そんな3人を余所にチラチラと次の番号やどうやって呼ばれるのかなど見ている臨也は、暢気な私達に苦笑気味な顔で口を開いているが、

子供達の前では無意味であり、[パパすごいもんねっ][とーとはじょうほう屋さんだもんね]と乗せるような言葉を吐き出し、ひらり、とかわしていく。


「ねえ、とーとはおすしすき?」

「何のおすしがすき?」

『決まってるじゃん、大トロだよね、パパっ』

「そうだね。……見た感じだと、ここにはそういうものは置いてないようだねぇ」

「何で大トロがすきなのー?」

「大トロおいしー?」

「美味しいよ。お前達にも今度、食べさせてあげるよ」


メニューを見ながら僅かに残念な顔をする臨也。

そんなに大トロが好きなのかと思っていると子供達もそう考えたらしく、暇を持て余しているかのように父親を質問責めにしている。


「本当っ!?大トロにハマっちゃうかなっ!?」

「大トロー、大トローって!」

「流石にそこまでではないと思うけど、どうかな」

『小さいうちから贅沢させると、その癖が抜けなくなるらしいよ……?』


私のお金ではないのでどう使ってもいいとは思うが、まだ小学生の子供に大トロという高級な部分を食べさせるのはどうかとも思ってしまう。
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