折原家2

□真夜中の出来事
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まあ私達は好きで彼の傍に居て、彼と共に生活しているので何とも言えないのだが。


「……ねえ、本当は何しに来たの?」

『何しにって……お腹空いたから、水飲もうかなって思っただけだよ?』

「……本当にそれだけの理由で1階に下りようと思ったの?」

『疑われても困るんだけど……。お腹空いて目が覚めて、でも我慢しようかなって思ったけどできないから水でも飲んでちょっとだけお腹を満たせば眠れるかな、って』


冷蔵庫へと行き、お腹がグーグー、と早く何か食べさせろ、とばかりに鳴っていたが、欲を振りきってミネラルウォーターを手に取り、

台所に出すとそれを一旦置いてコップを取り出し、並並まで注ぐとそのまま一気に飲み干していく。

そんな私を見ながら臨也はまだ信じられないのか問いかけてくるが、私にはそれ以上の理由なんてないので起きた経緯と

1階に下りようと思った訳を話せば、疑いながらも[そう]と言いつつ、ソファの方へと歩いて行く。


『あれ、臨也寝ないの?』

「寝るよ。でも君が少し物足りないような顔をしてるからさ、満足するまで待ってようかと思って」

『べ、別に……。……今日だけだよ?絶対、今日だけ』

「分かってるよ」


水を飲んだが、まだ少し寝るには足りないぐらいで、もう少しだけ何か食べたいな、と思ってしまった。

そんな私の感情を彼は読み取ったのか、溜息を吐き出しつつもソファに腰掛け、待ってくれている様だ。

別に待っててくれなくてもいいのに―――と思ったのだが、臨也は私がどこかに行ってしまうかも、という感情を捨てきれないらしく、眠くても私の傍に居たいらしい。


―――本当、変な人……。


心配になる事はあるかもしれないが、ここまで徹底的についてこなくてもいいのではないか、と思ってしまう。

そこまでされると私の信用って―――なんて思ってしまうし、ほんの少しだけ気持ちが落ち着かなくなってしまう。

まあ―――


『臨也、臨也も何か……って寝てるし……』


こうやって他人に無防備な寝顔を見せるなんて事をしているので、ただ単に心配性なだけな気もするが。


『……おにぎりにしようかな』


残ったご飯があるのでそれで小さなおにぎりを作れば、このハラペコなお腹も少しぐらいは収まってくれるだろう。


『……いっぱい食べて、大きくなりなさい』


まだ見ぬ3人目の我が子が、栄養を欲しがっているのだと思えばこの空腹も必要なものだと思えてしまう。

まあもしかしたら、夜のご飯が少なかったので身体が足りないと言っているだけかもしれないが。


『……ふう。……臨也?もう寝るよー』

「…………」

『ちょ、臨也ー?こんな所で寝たらダメだって!』


手の平サイズのおにぎりを食べるとやっと落ち着いたので、そろそろ寝ようかと思って彼に声をかけたのだが、器用にソファに寄りかかって眠っており、起きる気配がない。

だが、ここに置いて行くわけにもいかないし、朝起きた時に[何で俺、ここにいるわけ?]と不機嫌な顔をされても困るので身体を揺らして起こそうと頑張ってみた。


『臨也っ、臨也っ!起きてっ、風邪引くよっ!』

「ん……愛子……?何で俺、ここにいるわけ?」

『自分で来たんでしょっ、私が1階に下りるって言ったら俺も行くって!』

「?そうだっけ。……まあいいや、部屋に戻ろうか」


―――寝ぼけてたのっ!?


あれ程までにハッキリとしっかりと声が聞こえていたので、起きてたか、起こしてしまったかのどちらかかと思ったのだが、

不思議そうな彼の顔を見て、私のこの苦労はいったい、そう思いつつ、一緒に上に上がり、横になった。
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