折原家2
□子供達の成長
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反抗期や成長、というものが。
「言っておくけど、君がいくら何か言おうと俺はあの子達を怒っていたよ。約束を破った事は事実だからね」
『……そう、だね。きっと臨也の考えは間違ってないと思う』
「それでも君は納得できない。……その理由、それは子供達への甘えさ。[子供達が無事なら遅くなっても構わない]そんな事を思ってるんじゃない?」
『っ…………』
「甘いんだよ、考えが。そんな事じゃ本当に何かあった時に後悔するのは君だよ。……俺はただ後悔したくないだけさ、何事にもね。
だから怒るし、冷たく言い放つ事だってできる。愛してるからね、子供達の事を」
私まで怒られる必要はないような気もするが、一緒になって子供達に注意しなかった事についてよく思っていないのか、
こちらが言葉を吐き出す前につらつらと言葉を並べ、彼の愛が本物だという事を知った。愛してるからこそ心配する。愛してるからこそ怒るし、注意だってする。
子供達は今どんな気持ちで2階の寝室にいるのか解らないが、彼の言葉には全て意味がある。無駄になってしまう事なんて、きっと一つもない。
―――……それなら、私は?
―――私は、子供達の為に何かできているのかな……。
彼は子供達の身体を守る。心だって時には守る。
愛してるからこそできる事であり、折原臨也だからこそできる事でもある。それなら私は―――どう言った事で子供達を守れるのだろうか。
心で子供達の盾になる、と思っていても実際に行動しなければそれは思っていないのと同じだ。
だが、自分には何ができるのか―――そう聞かれた時、やっぱり私は何もできないと答えるだろう。
『……愛してるからこそ、怒る……』
「そうだよ、興味もなかったら時間なんて指定しないし、約束を破られたとしても対して何も思わないさ」
『……臨也らしい』
「笑い事じゃないんだけどなぁ。これからどうするつもり?今は他人の言葉を借りて行動してるけど、そのうち自分達の言葉を使って反抗しようとして来るだろうねぇ」
『……大きくなっていくのに必要なものなんだもんね。受け入れなきゃいけないんだよね……』
「そうだね、今の子供達の考えや行動を否定しすぎてもダメだし、肯定しすぎても駄目なんだよ。……本当に難しい話だよ」
ちょっとだけ頭を抱えながらも、嬉しそうな顔をする臨也。
小さい時ならば適当な事を言えば、簡単に信じて疑わなかったが、あの歳になればきっともうそういった事は通用しない。
自分達の考えを持ち、好きなグループと、友達と集まって行動し、コミュニケーションの力を育ませていくのだろう。
人間嫌いな子供だってきっといる筈だ。
話すのが苦手だという子だっている筈だ。
全ての子供達が双子のように簡単に友達を作って[自分の居場所]とばかりに集まるのが苦手な子だっているのだから。
―――無理に直せ、なんて言われてできたら最初から苦手なんて思わないんだよね。
『……でも、嬉しそうだね』
「そう思うのなら一度眼科に行った方がいいと思うよ。……まあでも、子供達があれからどんな風に成長していくのか、っていうのは興味ある所だけどね」
『……そうだね、どんな風に育つのかな』
「……真っ直ぐ育ってくれればそれ以上は望まないよ。まあ欲を言うなら他人を思いやれるような人間かな」
―――――――……
同時刻 2階寝室
視点なし
「パパとママ、まだおこってるかな……」
「とーとはぜったい、おこってると思う!」
「……だよねー」
時々扉を開いて父親と母親の様子を窺う。