折原家2

□夜の営み
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<夜の営み>


新宿 某マンション

愛子視点


「パパ、ママおやすみー!」

「おやすみー!」

「おやすみ、良い夢を」

『おやすみ』


そろそろ子供達が寝る時間となったが、もう少しだけ起きていたいと僅かにぐずっていた二人だったが、

[明日起きられなくなるよ?]と言う旦那の一声で一瞬で自分達の寝室へと向かっていく双子が今日も今日とて可愛らしい。

やっぱり自分の子供が一番可愛いな、なんて親バカな事を考えつつ、旦那とこの後どうするのか話をする事にした。


「まだ寝るには少し早いけど……あの子達にああ言った俺が起きれなかったら意味ないし、そろそろ寝ようかな」

『そうだね。私もそうする』


明日は家族で近くの公園にお花見に行く予定であり、子供達は朝から私と一緒になってお弁当を作ると張り切っていた。

なので早く起きなければいけないのに遅くまで起きていたら起きれなくなってしまうので、いつもより素直に言う事を聞いてくれた。


―――そういう所が可愛いんだよねー。


父親みたいに性格が歪んでいるわけでも、素直になれないような思春期でもなく、

目的の為であれば大人達と一緒になって起きていたい衝動を抑えてベッドの中に潜り込める―――そんな二人が可愛いのだ。


『ねえ、臨也?』

「?」

『名前、考えてくれた?』

「……気が早すぎるんじゃない?まだ生まれるまで全然時間があるじゃないか」

『そうだけど……楽しみって言うか、今度はどんな名前にするのかな、って思って』

「さあね、まだ何も考えてない、とだけ言っておこうかな」

『そういう言い方の時の臨也は大体候補が決まってる時だって知ってるんだからねー?』


旦那の一声によって私達の予定も決まり、戸締りやエアコンなどの確認をした後に寝室へと向かい、電気を点けてベッドに座りながらまだ膨らんでいないお腹を見つめた。

まだまだ生まれるには時間がかかるのは知っているが、それでも自分の中に小さな命が少しずつ少しずつ育って来ているのが意識として、感覚として解るのは3人目だからなのか。

それとも[子供がいる]という事を教えてもらったからこその意識の違いなのかは解らないが、まだ寝るには少し早い時間だ。こういった話をしても起きる分には差し支えないだろう。


「買い被り過ぎだよ。まだ3人の父親になるって言う自覚すらないぐらいだよ?きちんと考えておくからさ、楽しみにしててよ」

『じゃあ……候補っ、ね?どんな名前にしたいか、とか……』

「今日はどうしたの?いつもはそんなに触れて来ないのに」

『少しぐらいこの子の話をしてあげなきゃ、嫉妬しちゃうかなぁ、って思って』

「嫉妬か。……それもそうだね。君は男の子か女の子、どっちがいいのか決まったの?」


まだ細胞レベルでしかない子供が解るわけがない事も旦那―――折原臨也は知っている筈なのだが、小さく笑って同意し、ベッドの端に座って問いかけてきた。


『うーーーん、悩むよねー……。そりゃあどっちでも可愛い子供だって事には変わりないんだけど、どっちがいいんだろう……』

「一気に男女の双子ができたからね、どっちに転んでもあまりいい結果にはならないと思うけど」

『……そうだろうね……。女の子同士の喧嘩とか、男の子同士の喧嘩かぁ……。激しいのは男の子のほうかな?』

「さあ?俺は下がアイツらだからそういうのは解らないかな。でも、あまり変わらないんじゃない?」


兄弟喧嘩というものはどこにでもきっとあって―――両親はそれに苦労するかもしれない。

私達からしたら大した事でもない事でも、その本人にとっては笑い話にはできなくて、時に暴力に発展する事もあるかもしれない。
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