折原家2

□whiteday
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注意書き

[ばれんたいんでー]の続きの話となっております。読まなくても解るような内容にはしていくつもりです。


<whiteday>


新宿 某マンション

臨也視点


―――そろそろホワイトデーか。

―――何かお返しを、って思うんだけど何をプレゼントすればいいのかな。


3月14日はホワイトデー。

どこの誰が作ったのか解らないこの行事はいつの間にか日本に浸透し、バレンタインデーのお返しを渡す日、という事になっていた。

バレンタインデーには歴史はあるが、ホワイトデーには大した歴史もない筈なのにそれが[当たり前]となり、スーパーやデパートなどが活発にそう言った事に取り組んでいる。

こちらからしたらいい迷惑なのだが、バレンタインデーの日に何もお返しもせず、この日まで来てしまったのだからこういった行事は保険としてあってもいいのかもしれないが。


「もうすぐホワイトデーだね、パパ!パパはおかえし、何くれるのー?」

「ぼくねー、あたらしいおもちゃがほしい!」

「あ、それじゃああたしは、あたらしいおようふくがほしいなぁ!」

「……お前達ね、こういうのは気持ちの問題だよ?お前達のあのチョコにどれだけの価値があると思ってるの?」

「じゃあ、もうパパにチョコあげなーい!」

「おもちゃかってくれないなら、とーとにチョコあげなーい!」

「……ほとんど脅迫じゃないか」


色々な事を知り、口が達者になった自分の自慢の子供達は親を脅すかのような言葉で欲しいものを口にする。

ある意味考えなくても向こうが勝手に欲しいものを言ってくれるのでそれを用意すればいいだけの話なので助かってはいた。

だが、問題は―――


『パパにそういう事言ったら可哀想でしょ。パパ、二人のチョコすっごく楽しみにしてるんだから』


この妻であり、子供達のように欲しいものは言わないし、何か欲しいものは、と聞いても[特にないかな]というのがお約束だ。

最近は色々と女として気にしている部分があるのか、簡単なリップから塗るようにしているようで口元は綺麗なピンク色が色づいている。

だが、化粧品も彼女が気にし始めてから欲しいものが増えたらしく、

調子に乗って買い与えていたら大体のものが揃ってしまい、プレゼントとして渡す物がなくなってしまった、というのが現状だ。


―――与えすぎも良くないねぇ。


欲しいものがなく、プレゼントとして困っていた彼女が[これが欲しい]と言ってくれる事が嬉しくて―――

お金で付き合っているわけではないのだが、それでも好きな人にお金を使えるというのは俺らしくもないが、嬉しい事だ。

まあそのせいでホワイトデーのお返しに何を渡すかで悩んでいるのだから、本末転倒なような気がするが。


「だってだってぇ……とーとがおもちゃ、かってくれないって言うからぁ」

「あたし、おようふくほしいのにぃ……」

『ちゃんとパパは二人の欲しいもの、解ってるから大丈夫だよ。こんな事言ってるけど、二人が欲しいもの言ってくれるから助かってるんだよ?』


―――どうしてそれを言っちゃうかな。

―――言ったらサプライズにならないじゃないか。


「そうなのっ!?」

「じゃあ、いーーーーっぱい言わなきゃ!」

「言った所でそれが叶うかどうかは別だけど。お前達がテストで100点を2枚ぐらい持ってこないと難しいかもねぇ」


母親の言葉を聞いた双子は目を輝かせながら俺の方を向いて真意を確かめてくる為、適当な事を吐き出せば、信じたらしく[がんばらなきゃっ]と意気込んでいた。
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