折原家2

□小さな生命
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「本当にそんなドラマや漫画みたいな事が起こったら、か。……さあ、どうするだろうね」

『やっぱり命がけで二人を守る?それとも二人の事だからって気にしない?』

「……今日の君は強引なぐらい質問してくるね。そういう場面になった事がないからさ、その時の俺がどんな行動に出るのか想像もつかないんだよ。

大体の事は二人で解決できるだろうし、いざとなったら二人の師匠や美影ちゃんが助けてくれるだろうからね。俺が手を出さなくてもどうにでもなるんじゃないかな」

『そういうのが聞きたいんじゃないんだけどなぁ……』


もっと[兄妹だからこそ]という話が聞きたいのだが、やはり旦那―――折原臨也や二人の妹達では世間一般の話は通用しないのかもしれない。

溜息を吐くように独り言を吐き出せば、[君は何を期待してたの?]と問いかけてくるので投げやりに自分が考えていた事を口にすると納得したかのような表情で[そういう事か]と呟く。


「兄妹なんてどこも変わらないんじゃないかな。それがどれだけ年が離れていようと、どんな人間であろうとね。

俺だって二人がいつまであんな事をしてるのか、っていうのは心配する所だし、

二人揃って結婚する気もない、って言うのは俺は良くても両親が気にするんじゃないかな、って考える事もあるよ」

『パパでも気にするんだ……意外』

「一応血の繋がった妹達だからね。それに俺のせいだって言う自覚もあるから、あのままじゃ困るんだよ」

『……二人もパパみたいな良いお兄ちゃんとお姉ちゃんになれるかな……』

「俺がいい兄なのかは人によるんじゃない?君は俺をいい方向で見てるようだからねぇ」


あまり二人の将来の話をしない臨也だが、案外昔とあまり変わらない二人を心配しているような言葉にポロっと本音が漏れれば、苦笑しているかのような顔でそう言う臨也。

他人に対してはあまり責任や将来について興味を持たない彼だが、このままではきっと二人ともお嫁にはいけないと危機感のようなものを感じているのだろう。

自分の好奇心を満たす為に、自分と血が繋がった妹達を使ってしまった事を僅かに後悔しているようにも見えた。


『そうかなぁ……。パパは見た目、冷静で人でなしっぽいけど……すぐ嫉妬するし、一緒にいないと拗ねるし、

構ってくれないと不機嫌になるし……そんなにいい方向で見てないと思うけど……』

「俺が簡単に人を殺せるような人間かもしれないなんて考えた事ないの?もしかしたら折原臨也っていう人間はそんな冷徹な部分も持っているかもしれないよ?」

『ないね、それは。それだったら人間が好きなんて言えないよ。だってパパ、生きてる人間が一つの事にどう立ち向かうのか、どう潜り抜けるのか、っていうのが見たいんでしょ?』

「……よく知ってるね、俺の事」

『もう10年以上も一緒にいればそれぐらいはね。だからパパは人は殺さないし、殺そうともしない。

ナイフだって護身用って言いながら人間には怪我させないし、使うとしても威嚇するぐらいだからパパは優しいと思うよ?』


彼がナイフを使う時、それは天敵である静雄さんと喧嘩をする時だけであり、殆どはハッタリみたいなものになっている。

大体は相手がナイフと言う凶器を持っている事に恐怖し、後ろに引くか、それでも後戻りができなくなれば、


襲いかかってはくるがちょっとでもそのナイフが振るわれようなら、ただ服が切れただけでも、

紐が切れただけでも逃げていくので静雄さんのように力が無くても、簡単に追い払う事はできる。

それで私達は助けられ、こうやって何気ない日常を送っていられるのだ。
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