折原家2
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解っている事だとしてもやはり少しぐらい私の意見も聞いてくれてもいいんじゃないかと思うが、結局相手にあれこれ言われ、納得するのがお決まりのような展開だ。
それならばわざわざ反抗的な言葉を吐き出すよりも、溜息を吐き出しながらも納得した方が話が早く済むような気がする。
結局自分も最終的には彼の意見に賛成しているのだからあまり自分の意見、というものは関係無いのかもしれないが。
「それはこっちで考えるから、君は君らしく生活してくれればいいよ。驚かせるつもりも、怖がらせるつもりもないから安心してよ」
『ま、まあ……それならいいけど』
別に彼の事を怖い、と思った事は最初の頃ぐらいしかなかったのだが、相手はどういう風に私を見ているのか、[怖がらせるつもりはない]と言うのでちょっとだけ心の中で苦笑する。
相手の事を知らない時は、何を考えているのか、何をされるのか、私にどうして欲しいのか、どうなってしまうのか―――
色々な事を考え、不安で怖くて仕方なかったが、こうやって長年一緒に暮らしていれば、彼が人間らしく、可愛らしい所もあるのだと気付いてそういった感情はなくなったものだ。
―――痛いのを我慢しながら話してる臨也とかも可愛かったし……何してても可愛いんだよね。
暗い中で動こうとして―――どこかに腕をぶつけたのか、戻ってくる頃には腕を摩りながら平然とした顔をしていた彼を見た事があり、[そんなに痛かったんだ]と心の中で笑ったものだ。
いつもは冷静で、大抵の事は受け流してしまうような人間が、たまに見せるそういった可愛らしい部分に狩沢さんで言う[ギャップ萌え]を感じてしまい、
結局臨也から逃げる事も無く、一緒に笑い合うまでになっているのだから人生解らないものだ。
「……ニヤニヤしてどうしたの?何か面白い事でも考えてたのかい?」
『何でもなーい。臨也の考えた事がどんなのか楽しみにしてるよ』
「それをやるのは君だけどね」
『うっ……まあそうなんだけどもっ、過激な事とかはやらないからねっ!』
「過激、ねぇ。じゃあ君にとってどういう行為が過激だと思うんだい?」
『なっ……そっ、そ、そんな事答えなきゃダメっ!?』
色々な彼のおっちょこちょいな部分を思い出しているといつの間にか顔に出ていたらしく、臨也に問いかけられるのもいつもの事だ。
本人にそんな事は言えないし、言いたくないのではぐらかすように言えば、クスクス笑いながらサラっと返すので言葉に詰まってしまう。
そして臨也は真顔で物凄い事を聞いてくるので目を大きく広げながら驚き、あと少しでむせるような勢いであり、
顔を真っ赤にしながら問い掛けると僅かに不思議そうな顔をして[そんなに過激な事を考えたの?]と問いかけてくる。
『そっ、そういうのじゃっ、ない、けど!臨也が変なこと聞いてくるからっ』
「変な事かな。だって君が言ったんだろう?過激な事はしない、って。でもそれって、もしかしたら俺の中の過激と君の中の過激の認識は違うかもしれないよ?
だから、どういう行為が君にとっての過激なのか、っていう事を聞いておかないと後からこれは過激だ、って言われても困るからさ」
『そ、それは……そう、かもしれないけど……っ、口で言うのは恥ずかしい、って言うか……あ、携帯とかで文字を打つとか手紙に書くとかもダメだよっ!?』
「……君も俺の対策を学んできてる事に喜んでいいのか、手を塞がれたと落胆していいのか、複雑な気分だよ」
何度もあった事だ。
口で言うのは恥ずかしい、と言えば、待ってましたとばかりに携帯やら紙やら出してきて
[ここに書けば恥ずかしくないんだろう?]と言うので先にその手を塞いでおけば、僅かに苦笑しながらそう言う臨也。