折原家2
□VS友達
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―――まあ……私がそんな事言える立場じゃないんだけどね……。
まだまだ小学生の子供達だ。
今はこうやってモジモジしているが、数時間後には4人で仲良く遊んでいる姿が簡単に予想がつくので静かにしておこうと
[ごゆっくり]と笑顔で机の上にお茶を置いて部屋から出て臨也の方へと戻っていく。
「どうだった?」
『二人はいつも通りだったよ。友達の方はお互いにモジモジしてて可愛かった』
「モジモジ、ねぇ。じゃあ俺も、モジモジしながら君と話をしようかな」
『えっ、やめてよっ、臨也がモジモジとか……可愛すぎて死にそう……!』
「……予想の斜め上の発言をどうもありがとう。まあいくら君に言われようと俺はそんなことしないけどね?」
『しないのーっ!?絶対可愛いのにっ』
戻ってきた私に気付いたのか、彼はこちらに目線を向けながら問い掛けてくる為、素直に返事を返せば、ケラケラ笑いながら冗談っぽく言うので私も冗談半分、
本気半分で言うとちょっとだけ呆れた表情をした後、辛辣に言葉を返すので声を荒げて隣に座ると溜息でも履きたそうな表情をした。
「新宿の折原臨也、なんて言われてる俺が、だよ?モジモジしてる姿なんて思いつく?思いつかないよねぇ。だから却下」
『えええっ、臨也だってよく言うじゃん!みた事が無いから見たいって!私も見たいですっ』
「それは君の表情であって、俺の行動じゃないんだよ。いくら愛する妻である君の言葉であろうと俺は変えるつもりはないし、見せるつもりもない、これでこの話は終わりだよ」
『臨也のケチぃ……』
完璧に否定し続ける臨也に何を言ってもどんな行動を取ったとしても効果はないので諦めてテレビでも見ようとリモコンを手に取った瞬間、
上から[ホットケーキっ]と騒がしい双子と置いて行かれないようにと慌てて2階から下りてくる子供達がいて―――結局下りてくるんだ、と苦笑しつつ、立ち上がった。
「ホットケーキ、ね!わすれてた!ママもわすれてたー?」
『忘れてないよー。筑紫が下りてこないからいらないのかなぁ、って思っちゃった!』
「いらなくないもんっ、ホットケーキつくろー!ねー、ホットケーキ、食べたいもんねー」
「え、あ……」
「ほらぁ、ミヤちゃんも食べたいって言ってるよ!ねー、ママー、ホットケーキつくろー!」
『はいはい、小さいのね』
ミヤちゃんと言う友達は娘の勢いと緊張で返事が出せないようだが、筑紫は返事を待っていないかのように殆ど無理矢理頷かせるような勢いで私に
[ホットケーキつくろう]と言うので溜息を吐き出しつつ、台所に向かうのと同時に息子の友達は臨也に向かって許可を取っている様だ。
「ゲームやらせてっ、おっきいがめんでゲームやりたいっ」
「……ここでやるの?さっきまで君達の部屋で遊んでなかったっけ」
「ゲームきっていうの、テレビじゃないとできないって!だからね、おっきいテレビかしてあげるって言った!」
「……。……もう少し大きくなったらお前達の部屋にもテレビを置いてあげるよ」
紫苑の友達は娘の友達とは違ってハッキリと自分のしたい事を相手の父親に向かって言うと彼は眉を顰め、
思い切り嫌だ、という態度を取るが、息子はキラキラした表情で父親に頼むので大きな溜息を吐き出した後、否定するのは諦めたようだ。
それを肯定だと受け取ったのか、友達は急いでゲーム機を取りに行き、テレビの前に何本かの線を挿し、テレビを付けている。
手慣れたものだ、なんて心の中で思いながら。