折原家2
□VS友達
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「紫苑ってやっぱすげーな!」
「すごくないよー、とーとの方がすごいもんっ」
「マジかっ!お前の父さん、今日いるの?」
「いるとおもうよー?今日はママといっしょにいるって言ってたもん!」
「じゃあそのお前の父さんとしょうぶだ!」
「がんばってね!」
何事もなかったかのように男友達と話をしている少年に女の子達は自分達にも構ってほしい、と言わんばかりの表情をしていたが、
楽しそうに話をしているカッコイイ同級生に嫌われたくなかったので女の子達は何も言う事無く、四方に散っていった。
そんな漫画やアニメに出てくるようなクラスの人気者の少年―――それが折原紫苑という子供だった。
―――――――……
数時間後 某マンション
愛子視点
「ママー!おともだちつれてきた!ホットケーキ食べるって!」
「ぼくはね、ゲームするの!」
『おかえり。そ、そうなんだ……。じゃあまずは手を洗いなさい』
「「はーいっ!」」
「おじゃましまーす!」
「お、おじゃましまーす……」
今日も友達と遊んで遅くなるのだろうか、なんて考えつつ、昨日約束したホットケーキミックスを準備しつつ、待っていると騒がしい足音が聞こえてきて―――
やっと帰って来たか、と玄関まで歩いて行けば子供が4人に増えていて、一瞬何事かと思ったが、双子が揃えて説明してくれたので納得しつつ、
中に招き入れると子供達は友達をそっちのけで手を洗いに行き、男の子は軽やかに、女の子はドキドキしながら靴を脱ぎ、中に入ってきた。
「広ーーーいっ!いいないいなぁ!オレの家がいっぱい入るぐらい大きいな!あっちにかいだんがある!紫苑、あっち行こうぜ!」
「ちょっ、まってよぉ!」
「広いねー。筑紫ちゃんのおへやってどこー?」
「あっちー!」
「……騒がしくなったねぇ」
『ごめんね、断れなくてさ……』
「別に怒って言ってるわけじゃないさ。こういう事もたまには必要だと思うし、子供達が折角連れてきたんだ、無下に扱うものじゃないだろう?」
『まあそうだけど……』
バタバタ、と階段を駆け上がる音、様々な戸を開ける音、子供達の[あけたらパパにおこられちゃうっ]という焦った声、楽しそうな笑い声―――
先程まで私と旦那の2人だけだったので一気に騒がしくなったような、そんな感じだ。子供達は嵐のようだと思ったが、
今日は停滞する台風のようであり、友達が来ているので更にテンションが高いのか、まるで赤ん坊のように楽しそうだ。
「何か飲み物でも持って行ってあげたら?こっちに下りてくるのはもう少し先のようだしさ」
『そうだね、折角楽しそうなのに邪魔したら悪いよね』
子供は子供同士で遊んだ方がいいと思うし、これが例え喧嘩になったとしても怪我を負わせるような喧嘩以外は私達親が入っていいものではないと思う。
なので様子を窺うのと一緒に子供達のコップと割れないコップを用意し、お茶を注いで御盆に乗せて2階へと上がっていく。
「あ、ママ!あとでね、ホットケーキつくろうね!」
「ママもトランプやるー?」
『はいはい、解ったから座りなさい』
両手で支えていたのを片手に変えてノックすると双子が迎えるように笑顔で開けてくれて群がるように別々の話をするので
お茶を溢さないように両手に変えて一緒に中に入れば本当に別々の遊びをしており、4人いるんだから4人で遊びなさい、と思ったが、
娘の友達と息子の友達はあまり会った事がないのか、気にしてはいるようだが、中々声をかけるきっかけが見つからないみたいだ。