折原家2

□夢いっぱい
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ふてくされるように、文句でも言いたげに呟く双子に溜息を吐き出しつつも自分の膝をポン、と叩いて呼べば

[おそいよぉ]と言わんばかりにそのまま膝の上に座って上機嫌な双子。私だって最近座ってないのに、と嫉妬のような感情が芽生えたが―――


「君もちゃんとやってあげるから安心しなよ」


という言葉で二人も気付いたらしく、ちょっとだけ私の方を見て申し訳なさそうな顔をしたが、すぐに父親に甘えるように[スイカ、いつ食べるー?]と問いかけた。


「お前達は食いしん坊だねぇ。慌てて食べたって良い事なんて一つもないのに」

「だってだってぇ、おいしそうなんだもんっ、スイカも早く食べてって言ってるよー?」

「パパもスイカ、食べたいでしょー?ねー、食べよー?」

「……全く。いいよ、お前達の好きなようにやりなよ」


膝の上で甘える双子に結局これが目的なのだと解った臨也は大きく何度目か解らない溜息を吐き出し、

外に出たままのスイカに目を向けて許可をすると跳ねまわるのではないか、と言う程に大喜びし、膝から降りるとそのまま行儀よく座って、塩を持ってくるらしい。


―――後で皆で食べようと思ってたんだけど……まあいいか。


食後にでもデザートとして出そうかと思ったのだが、二人は慣れた手つきで塩を振り、いつの間にか持って来ていたスプーンで種をポイポイ、と器用に取っていく。

そんな姿にちょっとだけ食べたくなったらしい彼は冗談半分で二人に顔を近づけると[しかたないなぁ]という顔をした後、

二人で大きな塊のスイカをスプーンで取って父親の顔の前に持って行き、[食べていいよっ]と言うのでニコニコしながら一つずつ口に運び、[美味しいねぇ]という声が嬉しそうだ。


『ちょ、ちょっとだけ……ママもちょっとだけ頂戴?』

「ママもスイカ食べたかったの?パパはいいのー?」

「とーとのおひざ、あいてるよ?」

『それは……後でいいから』

「……スイカに負ける旦那って何だろうね」


和気あいあいとした3人に、というより美味しそうにスイカを頬張る3人を見ていたら無性に食べたくなり、近付いて行き口を開けば、先程の事を言っているのか、

父親の方を向きながら答える為、首を振れば、ちょっとだけ躊躇ったが、優しい双子はすぐに大きくスイカをスプーンですくって私の方に渡してくるので、そのまま口に頬張り、

同意したように[甘くて美味しいね]と言うとニコニコしながら頷いて答えてくれた二人を余所に、スイカに負けたのがやっぱり気に入らない臨也。


『パパはスイカに負けてないよ、大丈夫!』

「後でいいなんて言うからさ、俺はついにスイカに負けたのかと思ったよ」

『ついに、って何……。じゃあパパはスイカを食べながら膝に座って欲しかったって事?』

「……発想をスイカから離そうよ。さっきまで先に食べる事に反対してるように見えたけど……君も食べたかったのかな?」

『反対、ってわけじゃないけど……予定っていうか、ご飯食べた後にデザートとして食べようと思ってたけど、二人が食べたいのなら別にいいかって思って』

「まあ俺達の分があるんだろう?それを半分にして食べるってのもありだと思うし、いいんじゃないかな。……ていうか、君はいつまで俺の膝に来てくれないの?」

『あ、まだ待ってたんだ……』


フォローするように言うと彼は解ってた、とばかりに笑いつつ、冗談か本気か解らない言葉を発する為、私も同じような事をすれば苦笑を浮かべる臨也。

ちょっとその姿が可愛くて小さく笑いながらも彼の言葉に返事を返したのだが、

私がいつまでも傍にいるのに膝に来ない事に疑問を抱いたらしく、ポン、と子供達と同じように自分の膝を叩いて呼んでいる。
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