折原家2

□色とりどりの
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「こんどは何色のかさにしようかなぁー」

「パパの色にしようかなぁー」

「俺の色って……黒だって言いたいのかな。それなら止めておいた方がいいと思うよ。いくら今の時代、

男がピンクの物を着ていても何も言われないからって流石にまだ小学生の女の子が黒い傘を持ってるなんて知られたら恥ずかしいだろう?」

「?パパの目、赤いでしょー?だから赤!」

「とーと、赤いおようふくもきるよねー」

「……ああ、そういう事か。二人とも赤いと思うけどね」

「パパの色なの!ママが言ってたもんっ、パパのこどもだからパパといっしょの目って!」

「とーとといっしょの色っ!ぼくもとーとの色にしようかなー」


[パパの色]という言葉に何だか嬉しくなる私。

確かに赤色なんて色々な所に使われているし、その色が好きだと言う人間もいるだろう。それでも、

目が綺麗な赤色をした人間はそこまでいないだろうし、アルビノでも血が混ざって赤く見えるだけで殆どピンクに近いらしい。


なので臨也の子供だという証拠はその綺麗な赤い目なのだ。本当はちょっとだけその特別な色に憧れもあったりするのだが、

臨也は[俺は君の目の色も綺麗だと思うけどね]と笑って褒めてくれるので自分の茶色の目が好きになった。


「俺の色、ねぇ。君は赤色を俺の色、って言われてどう思う?」

『嬉しいです!パパの色、なんてやっぱり素敵だと思うし、ちょっと特別感があっていいよね』

「……。……特別感、ねぇ。そんなに喜ばしいものじゃないと思うけど……君がそんなに喜ぶのなら俺の色、でもいいかもね」

『うんっ、私はパパの色大好きだよ。それにパパ、言ったでしょ?私はもっと自信を持つべきだ、って。私はパパにも自分に自信を持って欲しいな、って思うよ』


こんなに自分には勿体ない程素敵な人なのに―――私の事は凄く褒めてくれるのに自分は

赤い目、という特別な色を持っていて、モデルのような体型と、眉目秀麗なんて言われる程に整った顔、高身長―――

そんな女性なら誰でも憧れてしまうような人間なのに、彼はあまり自分には興味が無いのか、私の言葉にも納得がいかないらしい。


「そんなに俺は君が褒めるような人間じゃないさ。……ほら、二人共そろそろ好きなアニメが始まる時間じゃない?」

「!見る!」

「!つづき、すっごーーーく気になってた!」

『……。……誰が何て言おうと臨也は凄く素敵な人だよ……?』


―――――――……

数日後 新宿 某デパート

愛子視点


「パパの色、いーーーっぱいあるねー」

「うーん……どれがいいかなぁ……」


もやもやとした気持ちを抱えたまま、向かえた週末。

二人は[パパの色]と決めた赤色の傘を探して子供用の傘を見に来たのだが、

赤い傘、と言ってもキャラクターの絵が書いてあったり、他の色が混ざっていたり、様々で中々子供達の欲しい傘が見つからない。

二人は難しい顔をしながら手慣れた様子で傘を広げ、[これじゃなーい]と言って畳み、頑張って傘を綺麗に丸め、元の位置に戻している。


「他の色が混ざっててもいいじゃないか。この赤と白の傘、可愛いと思うけどな」

「うーん、何かねーちがうの。赤いかさなんだけど……ちがうの」

『真っ赤な傘がいいって事?』

「うーん、ちがーう。よくわかんなくなってきちゃった……」


二人の中では形になっているらしい欲しい傘はここには売っていないらしく、ガッカリした顔をしながら父親の方を見て、

溜息を吐き出す為、臨也は[俺が悪い事してるみたいじゃないか]と苦笑し、別の所に移動する事にした。
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