折原家2
□ゲーム機
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『RPGをやった事が無い、っていうか……どんなゲームかすら分からないっていうか……』
「あーそっかー……愛子っちもゲームに疎いんだったねー。じゃあちょっとだけ説明とやり方だけ教えるね。二人もやった事ないんじゃ、やり方とかも分からないだろうし……」
『よ、宜しくお願いします……』
―――――――……
数時間後 新宿 某マンション
愛子視点
「遅かったね。狩沢と何を話してたの?」
『えーと、ちょっと……狩沢さんの人生相談について、みたいな?』
「……嘘を吐くならもっとまともな嘘を吐きなよ。それで?本当は何の話をしていたんだい?」
チュートリアル、というのか本当の最初の方のやり方やゲームの使い方などなど狩沢さんから説明を受け、
[この女の子の声優さんがさー]ともれなく余分な豆知識を披露されたりしていると予定の時間より大幅に遅れてしまい、慌てて家に帰れば案の定、
不機嫌そうな旦那がソファに座ってこちらを見つめており、子供達はそんな彼を[いつも通り]とばかりに放っておいてテレビを見ているようだ。
いつになったら彼の独占欲も落ち着くのか、と溜息を吐きたくなるが、この独占欲がなくなる時、
それはきっと私に興味を無くした時なので適当な嘘を吐けば、やはり相手には通用しないようだ。説明した所で彼が許可するとは思えないのだが、
折角狩沢さんが子供達に、と貸してくれたゲームなので少しの間だけでも触れさせてあげたい、そう決意し、
大まかに話をすると[ゲーム、ねぇ]と目を細め、それが本当の事なのか見定めている様だ。
なのでそれを証明するように貸して貰ったゲーム機とソフトを鞄から取り出し、彼―――折原臨也に見せると流石情報屋、
と言うべきか名前やストーリーなどは知っているらしく、つらつらと説明する為、[よく覚えてるな]と感心しながら話を聞いていた。
「今、かなり人気のゲームらしいね。初回は半日で完売だろう?それ欲しさに高額でオークションに出されても買っちゃう人間も現れてるようなものをよく手に入れたよね、
狩沢もさ。これ、見た感じ初回限定版だろう?売りに出せば、5万ぐらいになるんじゃないかな」
『半日とかゲームに5万とか……何か次元が違いすぎるね。ていうか、何で知ってるの?』
「話題は大体目を通すようにしてるからさ。もう既に攻略情報をネットに流す人間も現れてるぐらいなんだよ?それを俺が見逃すと思うかい?」
『……情報屋って……』
狩沢さんからは[凄く人気のゲーム]と聞かされただけだったのだが、臨也から出てくる様々な情報。
そんな事まで知りたがる人間なんているのか、というような話に情報屋って何だろう、と考えてしまった。
ある意味高額なお金を出せば、どんな情報も彼の手に掛かれば手に入れられてしまいそうで―――こういった[情報を持っている臨也]を見ると、
いつもの甘えたり、不機嫌になったり、寂しがったりと言う彼が全く別人に見えてしまう。
―――分別がハッキリしてるっていうか……本当、表と裏って感じだよね……。
冷静で、いらないものは簡単に捨ててしまう表、子供達相手に喧嘩したり、些細な事で機嫌を悪くしたり、
独占欲を発揮したりする裏―――どちらも臨也だというのは解るのだが、それでも時々、二重人格なのではないかと思ってしまう。
まあ、どちらも私達を大切にしている、という部分は同じなのでもし本当に二重人格だとしてもそこまで困る事はないのだが。
「二人とも、ちょっといいかな」
「?あ、ママだ!」
「?ママおかえりー!」
『ただいま。二人とも、モンクエって知ってる?』
真剣にテレビを見ていた双子は私が帰って来た事に気付かなかったらしく、父親の呼びかけでようやく気付き、
笑顔で挨拶をするので説明すると[おもしろいって言ってたっ][モンスターをあつめるんでしょー?]と学校で聞いた話を私に話してくれた。