折原家2

□ゲーム機
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<ゲーム機>


池袋 某喫茶店

愛子視点


「ねえねえ、もう双子ちゃん達って小学生なんだよね?ていう事はさー、もう色々なゲーム機とかアニメとか見たがる時期じゃないっ!?」


いつものように友人に呼び出され、用意周到に旦那には既に連絡済のようで[いってらっしゃい]と何かを言いたげな顔をしつつ、送り出され、

足早によく使っている喫茶店の中に入れば、大きく手を振って自分の居場所を主張し、恥ずかしいなと思いつつもそちらへと向かえば、何の脈絡もなく、そんな話をされた。

それは自分ではないのか、と苦笑を浮かべたくなったが、考えてみれば確かに子供達が小さい時とは違った物を欲しがるのはおかしくない話だ。


環境が変わり、他の同じ年の子供達だって色々な物に影響され、近くに祖父や祖母が住んでいれば甘い顔をして[欲しいものはないの?]と孫に色々な物を買ってあげ、

母親がそれに頭を悩ませる―――ドラマで見た光景だが、デパートなどに行くと時々孫と祖父や祖母に見える年代が

[待ちなさい][はやくはやくっ]と手を引いている姿を見て、あながち間違ってはいないのかもしれない、と思った。


―――……欲しがった事ないかも……。


甘い物や玩具を欲しがって旦那や私を悩ませる事はあっても、ゲーム機やアニメなど二人の年代が欲しそうなものを言われた事が無く、

奇跡的にもまだ二人の周りはゲーム機を持っている子供達が居ないのかもしれない。まあそれはそれでかなりの希少価値なのかもしれないが。


『そんな事ないですよー。アニメを見るのは好きですけど……ゲーム機は殆どないですね……』

「イザイザだもんねー。ていうか、イザイザってゲームとかやるの?あ、勿論きちんとしたゲームだよ?」

『……どうなんでしょう。携帯のアプリとかあまりやってる所を見た事がない、っていうか……』


彼が風邪を引いた時や怪我をして動けない時などに携帯を借りて、旦那の友人である岸谷さんに電話をかける事があるが、

パッと見た感じは必要最低限のアプリしか入っていないように見えた。


きちんと見ていないので、もしかしたら何個か入っていて時間が空いた時にやっているのかもしれないが、一緒に居る時は大体私や子供達と話をしているか、

情報集めのように連絡を取り合っているか、一緒になってテレビを見ているか、仕事をしているぐらいなので、

電車に乗っている時に見かける、携帯画面を凝視し、下を見続けている事はあまりない。まあもしかしたら連絡を取り合うフリをして、

携帯のアプリで遊んでいるのかもしれないが、旦那―――折原臨也はゲームより人間、という人なのであまりそれも考えられないが。


「イザイザってそういうゲームに疎そうだよねー。……まあ情報量で言ったらそこら辺の雑誌なんかよりは持ってるんだと思うけど……」

『最初、アニメ雑誌を読んでた時はビックリしましたけどね……』

「イザイザとアニメ雑誌かー。確かに予想できないかも……」


臨也の見た目や性格などを見た時、最初に浮かぶのはアニメとはかけ離れた印象だろう。だが、情報屋という仕事をしているせいなのか、

ただアニメに興味があるのかは解らないが、難しい本と一緒に乙女系の男の絵が書かれたアニメ雑誌が並べられており、見た時は驚いたものだ。


他人の趣味を貶す事ができる程、自分は偉い人間でも無いし、それ以上に凄い趣味を持っているわけでもないので中々聞けないが、私自身、

子供達と一緒に戦隊モノや女の子が好きそうな可愛いアニメを見ている時の臨也は楽しそうだし、

友人である狩沢さん達の事を悪く言ったりはしないので人間が好きな事は彼も好きなのだろう、と考えている。
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