折原家2
□きーらーいー
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「パパ、ママにかまってもらえなかったからいじけてるんだー」
「とーと、かわいいねー」
「……可愛いとか言わないでくれない?俺は別にいじけてるわけじゃないし、お前達と一緒にしないでくれるかな」
「かわいいー」
「かわいいーっ」
自分達が原因じゃない事が解れば、二人はすぐにいつも通り父親をからかうように笑い、[誰に似たんだろうねぇ]と言う溜息にも似た言葉を吐き出しつつ、立ち上がった。
その姿を見てキラキラした、もしかしたら買いに行ってくれるかもしれない、という期待するような目を向け、ビシ、と立ち、再度自分達の要求を口にする。
「あまいものっ」
「とーとっ、いっしょにかいにいこー!」
「……全く。近くのコンビニでいいかい?」
「「うんっ」」
―――――――……
数分後 某コンビニ
臨也視点
「それで、甘い物って具体的に何を買うつもりなんだい?」
甘やかしてはいけないと解っていながらも、ついつい甘えてくる子供達を甘やかしてしまい、こうやって労力の消費にしかならない、
コンビニに行く、という事までやっているのだから俺も簡単な人間になってしまったものだ。
心の中で溜息を吐き出しつつ、楽しそうな双子に問いかければ、悩んでいるのか、デザートコーナーを行ったり来たりしていた。
コンビニ、というのは便利だが、たくさんの人間が利用する為、
1つしかないものだったり、売り切れてなくなってしまったものもあり、中々二人のお目当てとなる[甘い物]は見当たらないらしい。
流石にそれはいくら俺でもどうしようもないし、店員側が[売り切れです]と言ったら売り切れなのだ。
「……1つしかないねー」
「これ食べたかった……」
「……仕方ないよ。それは今度にして他のにしたらいいんじゃないかな」
二人の目に止まったのは季節限定、と書かれたパフェみたいなものであり、生クリームや苺、フルーツなどが乗せられ、値段もそれなりにするのだが、
既に残り1つとなっており、人間達がいかにして[限定物]に弱いのか、周りを比較し、昔の俺なら笑っていたかもしれない。
他のデザートはまだ多いとは言えないが、それなりの量が残っており、なくなってしまったものは大体が季節限定、なんて書かれたものばかりだ。
「うーん……何がいいかなぁ」
「とーとは何がいいと思う―?」
「俺は甘い物が好きじゃないって言ってるじゃないか。二人が食べたい物を選べばいいんじゃないかな」
俺の言葉で諦めたのか、それとも買えない事が解ったのか、他の所に目を向け、俺に意見を求めてくるが、好きでもないものを選べ、と言われても大体彩が違う、
とか中に入っている物が違う、という見方しかできず、[美味しそう]という感想は生まれない。
彼女なら色々な物を見て笑顔で[これ、美味しそうだよね]とか[これ綺麗だね]と言えるかもしれないが、生憎ここにはいないので3人で決めなければいけない。
―――俺が食べるわけじゃないからねぇ。
それに言ってしまえば、俺は保護者として子供達についてきただけであり、選ぶ権利は食べる本人である双子とその友達にあるので4つ程、
喧嘩しないように選んで買って行けばいいのではないか、とは思うのだが、二人はどうしても俺の意見が欲しいらしい。
面倒だな、と何度目か解らない溜息を吐き出した後、無難にシュークリームを選ぶと[わかってないっ]と怒りだした。
「シュークリームじゃないの!もっとちがうものがいいのっ!」
「何でシュークリームなのっ、パパ、シュークリーム食べたいのっ!?」
「どうして俺は君達に意見を求められたから選んだだけなのに、怒られないといけないのかな。それなら最初から君達が選べばよかったじゃないか」
ここまで連れてきて、お金だって払うのは俺なのに何故自分は子供達に怒られなければいけないのだろうか。