折原家2
□おなまえは?
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注意書き
こちらは[拍手っ!]の方で書きました[にゃんっ]の続編、と言いますか、折角なのでこららでも取り入れて書こうと思います。
ちょくちょく出てくるとは思いますが、そこまで気にせずに見て下さると嬉しいです。
<おなまえは?>
某ペットショップ
愛子視点
「可愛がってあげてくださいね」
『はいっ』
猫を飼う事が決まった数日。
自宅には子猫を迎える為のものを揃えたり、最初のうちはどうしたらいいのか、などなど本やパソコンで調べて子供達に[こうしちゃダメ][こうしてあげて]と教えたりしていていた。
あれだけ反対していた旦那も決まってしまえば諦めているのか色々買い込んだり、店員に話を聞いたり、熱心に勉強し、既に私達より情報を持っているかもしれない。
引き取りに行く日、子供達は学校でとても残念そうにしていて―――早く帰ってくるからね、と言ってバタバタと急ぎ足で学校に行った事を確認した数時間後、
二人で家族で見に行ったペットショップへと引き取りに行けば、フワフワな毛の子猫がそこにいて―――[やっぱり可愛いなぁ]と顔がニヤけてしまい、旦那に思わず苦笑いされてしまった。
そんな事の後、様々な事を聞き、食べやすい子猫用のご飯を選んでもらい、何個か買った後、店員の手によって子猫はキャリーケースに入れられ、あまり揺らさないように、
という事なので両手で抱えて自宅に帰れば、それまで揺らしてはいけない、という不安や緊張が一気に解け、息を吐き出し、ゆっくりとリビングの隅にキャリーケースを置き、
いつでも出て来られるようにと開いて離れれば、すぐにピョン、と元気よく出てきて周りを見渡している。
『大丈夫かな……。寒かったり、暑かったりしないかな……』
「心配し過ぎだよ。……まあでも、最初のうちは人間でも慣れない環境じゃ体調を崩しやすいようだし、気に掛けた方がいいかもね」
『だよね……っ、心配だなぁ……。でも、人間が構いすぎても猫にとってはストレスになるんでしょ?……うわぁああ……どうしよう……』
「だから心配し過ぎだよ。一度も触られた事もないような野良猫、ってわけじゃないんだ。それに一度は俺達は抱っこしてるわけだし、人間には慣れてる筈だよ」
『そうだけどさぁ……』
慣れない場所。
慣れない匂い。
いくら世話をしていたであろう店員や私達のような購入希望者が抱っこしていたとしても、猫がどう思っているかなんて解らない。
人間だって突然知らない所に連れて来られ、生活しろ、と言われても座っているかキョロキョロと周りを見渡す事しかできないだろう。
子猫も一緒のようで、勢い良く出てきたのはいいのだが、知らない場所ばかりで不安なのか、匂いを嗅いだり、座ったり、隅に丸くなったり、落ち着かないようだ。
『……何かやっぱり不安そうだよ?あ、臨也なら子猫を宥められるんじゃない?ほら、あの時も舐めてくれてたし……』
「別に誰でも良かったんじゃないかな。後で話を聞いたら、男には舐めてくれたり、喉を鳴らして甘えるみたいだからさ」
『……メスだから本能的に解るのかな……』
どうにかして子猫に[ここは安全な場所]という事や、私達に慣れて欲しくて―――それでもあまり積極的に近付いたりするのは可哀想なので、
もっと別の方法を考えているとペットショップであった出来事を思い出し、話をすれば、彼は呆れたような顔で否定する。
動物、というのはどれだけ人間に飼われるためのペットになろうとも[本能]という部分は変わらず、一歩間違えれば大怪我をする可能性だってある。