折原家2
□お年玉
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まさかの期限付きに更に頭を悩ませることになり、どうしたらいいんだろう、どうしよう―――
なんて考えていると無慈悲にも[それじゃあそろそろ寝ようか]と臨也が言い出し、子供達もそれに賛成してそれぞれの寝室へと入っていく。
―――欲しい物……。
―――無駄遣いはしたくない、けど……欲しい物が無いっ!
もらったお金はとりあえず財布の中にしまって、臨也の後を追いかけるように寝室へと入り、横になってからも何に使うか考えていた。
お年玉をもらう、という事を臨也に会う前からした事がなく、お年玉というものすら私の中ではとても珍しい物だった。
臨也はそんな私の話を聞いて、お年玉というものがどういうものなのか、解説するように話をしてくれて、
何となくそれがどういうものなのか解ったが、まさか自分が貰う側になるとは思ってもいなかったので、どうしたらいいのか解らないのだ。
「……まだ悩んでるの?」
『だって……本当にこれが欲しい、って思った事がなくて……』
布団の中でモゾモゾしている私を見た彼は僅かに呆れた顔で問いかけてきて―――誰のせいでこんなに考える事になったんだ、
と思いつつ、自分の気持ちを正直に言うと僅かに考えた後、小さく笑って口を開いた。
「……そうだな。こんなのがあったらいいな、とか、テレビでやってたものが欲しい、とかそういうものが欲しくなるんじゃないかな」
『うーん……初売りのスーパー安そうだよね……』
「君はとことん主婦だねぇ。……明日広告を見るといいよ。この家に必要な物が見えてくるかもしれないし、君が欲しい物が見つかるかもしれない」
―――――――……
翌日 朝
愛子視点
『うーーーーーん……』
昨日言われた通り、入ってきた広告を隅から隅まで見ていたのだが、欲しいと思えるような物が1万で買える物ではなかった為、他のものにしよう、
と思ってパラパラと見ていたのだが、それ以上目ぼしい物がなく、後は服とか靴とか家とかそんなものばかりだ。
―――家電は一万じゃ買えないよね、流石に……。
どれだけ大事に使っていても時間、というものは静かに機械達を弱らせていき、衰えさせていく。
そういった所は人間と同じなのかもしれないが、人間と違う所は[替える事ができる]というものだ。例えば洗濯機でも今まで性能がそこまで良くなかったものでも、
買い替えて性能を良くしたり、衰えていた物が新しくなったので昔のように働いてくれるようになった、など。
なのでそろそろ買い替え時期かな、とは思ったのだが、流石に子供のお年玉より僅かに高い値段では買えず、
今度臨也に頼もう、と思って諦めたのだが、結局それ以外何も思い浮かばなかったのが結果だ。
―――……よく福袋とかあるけど、あれはどうなんだろう……。
去年の売れ残りなのか、大きな袋に[福]と書かれた福袋を何度か見た事があり、いいなとは思った事があるのだが、
わざわざ買うものでもないなと思い、今まで買った事がなかったのだが、折角こうやってお金をもらったので一つぐらい買ってみてもいいかもしれない。
だが今はどんなものが入っているのか、というのがすぐに解り、選べてしまうのが残念な所であり、それじゃあ福袋と言わずに纏めて買わせた方がいいのではないか、とか考えてしまう。
―――でも、何が入ってるのか解らない、っていうのもそれはそれで怖いな……。
可愛い人や美人な人ならどんな服でも着こなせるのかもしれないが、そういった部類に入らない私は着れないという事もあるかもしれないし、
流石に恥ずかしくて外では着れない、というものも入ってるかもしれない。それはそれで困るのでどちらにしても困る事には変わりないだろう。