折原家2
□今年は?
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『そりゃあ……面白いかもしれないけど、やっぱり違うと思うし……』
本当に隠し芸のように準備をすれば子供達は喜んでくれるだろうし、きっと物凄く楽しいものになってくれると思う。
だが、それは本当に家族で過ごすクリスマス、という事になるのだろうか。皆で準備をして皆で楽しむ―――というのが本当のクリスマス、というものではないだろうか。
―――……まあ[本来の]って言ったら違うかもしれないけど……。
日本のクリスマスはみんなでワイワイ騒ぎ、楽しむものだが、海外の方では全く違うらしい。私も詳しくは解らないが、
静かにイエス・キリストが生まれた事を祝福するもののようだが、何を間違えたのか、そんな事は関係無い、とばかりにワイワイ楽しんでいるのだから日本、というのはおかしなものだ。
「気に入らないからってそこまで言わなくてもいいんじゃない?俺は君達の事を考えて提案してるんだから」
『そうかもしれないけど、何でそれぞれ用意しないといけないの……っ?一緒に用意すればいいじゃん』
「その方が君達、喜ぶだろう?サプライズ、なんて言葉が存在してるんだし、君だって好きじゃないか」
『……っ、クリスマスにサプライズは求めてませんっ』
何故かクリスマスの準備で喧嘩になる私達。
それぞれが考えたクリスマスをやりたい、という臨也。
皆で一緒に考え、準備をしたい私。
どちらもクリスマスを楽しみたい、というものなのだが、こうやってどうしても意見が合わなくなる時は時々あるので、
そういう時はたくさん喧嘩して不機嫌になってどちらかが折れてやっと仲直りする。
だが、今回は臨也は折れるつもりはないようで[面白そうなのに]と自分の意見の良さをアピールし、私に折れさせようとしている。
しかし、私だって諦められないし、そんな簡単に諦めるわけにはいかないので負けじと一緒に準備する良さをアピールする。
『臨也って結構寂しがり屋な所があるし、真っ先に一緒に準備する、って言い出すと思ったのになぁ』
「俺は別に寂しがり屋じゃないよ?君がいないとつまらない、ってだけで。君と会う前まで俺は一人だったんだから別に一人でも苦ではないさ」
『……へえぇぇえ……。そっかー、それなら仕方ないねー。じゃあ、臨也だけ一人で準備してね。私は子供達と一緒に準備するし……』
何だかんだ言いながら彼は私達を求めているのは知っているし、数時間帰ってこないだけで電話やメールが来るのに[寂しがり屋じゃない]と言うのだから面倒な所だ。
認めようとしないので私はジト目になりつつ、子供達と一緒に準備をする事を伝えれば、僅かに顔を引きつらせて[いいんじゃないかな]と無理矢理笑顔を作る為、
素直じゃないなと思いつつ、彼から離れ、今回のクリスマスをどう過ごすか考える事にした。
『料理ってどうするの?私が作る?作って欲しいものがあるならレシピがあれば、作るけど……』
「料理は君に任せるよ。俺は別の方に力を入れるからさ」
『そっか、解った』
彼がどんなクリスマスにするか解らないが、料理までこれを作って、こうして―――と言われたら困るので問いかけると何に力を入れるか解らないが、とりあえず臨也に任せる事にした。
―――折り紙で輪っかを作るとか……。
―――クリスマスらしい感じに部屋を飾りつけしたいよなぁ。
部屋の飾りつけは去年と一緒でいいと思うのだが、毎年同じではつまらないので何か付け足したいと思いつつ、どんなものがあったのか確認する為に2階へと上がっていく。
―――えーと……ここら辺に入れたと思うんだけど……どこ行ったのかなぁ。
いらないものを片付けるかのように臨也が情報屋として使う他のマンションに持って行ってしまうのでこの家になければ、そちらに持って行ってしまった可能性が高い。