折原家2

□騙し騙され
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注意書き

オリキャラ:石原里佳子 ーイシハラ リカコー

が出てきます。


<騙し騙され>


新宿某マンション

愛子視点


「いってきまーすっ!」

「いってくるねー!」

『いってらっしゃい、気を付けてね』

「気をつけるんだよ」

「「はーいっ!」」


同じ事の繰り返し。

朝起きて、旦那におはようの挨拶をして、子供達と一緒に朝ご飯を作って―――いってらっしゃい、と玄関で手を振って見送る。

そんな毎日。

嫌だ、と思った事は無いし、何か刺激的な事があったら―――なんて思った事はないが、こうやって毎日同じ事の繰り返しだと昔の事が夢だったんじゃないかと思えてしまう。


旦那とその天敵との命がけの喧嘩、粟楠会や都市伝説とまで言われた首無しライダーと出会い、仲良くなったり、私には無縁だと思っていた高校生活、友人―――

そんな慌ただしい世界から既に10年以上経ち、子供達も生まれ、まさに[平穏]というべき毎日を送っている。

確かに時々[非日常]に直面する時はあるのだが、結果的にはこうやって元の生活に戻っているので問題ないし、今はこうやって旦那―――折原臨也と笑顔で過ごす事ができる。


―――幸せ、としか言いようがないよね。


「一人で何ニヤニヤしてるんだい?」

「それは貴方も同じじゃないの?夫婦は似る、って聞くけど……貴方達も例外じゃないのね」

『え、私臨也と一緒ですか……!?えええ……何か嫌だなぁ』

「嫌って言わないでくれない?……君って昔よりハッキリと俺に対して言うようになったよねぇ」

『まあ……そりゃあね。これだけ毎日一緒に居たら、遠慮とかいらないっていうか……隠す必要が無い、っていうか……』


毎日朝から晩まで一緒に居る―――それが臨也だ。

夫婦なんだから当然、と思う人もいるかもしれないが、私と臨也の場合文字通り[ずっと一緒]なのだ。

なので、思った事は口にした方が自分の為だし、臨也も私に対しては思ってる事を素直に言ってくれる、そう思っている。


本当に彼が思っている事を素直に言ってくれているのか解らないが、不機嫌にもならず、

企む事もせず、こうやって冗談のように笑って[やれやれ]と言っているので、私が勝手にそう思っているだけだ。


―――企んでる顔はいっぱい見てきたから、何となく解るんだよね……。


仕事だからなのか、それとも何かあるのか解らないが、今何か企んでいるんだろう、と何となく解る表情は見てるつもりだし、

何年も前にも彼のそんな表情は見てきたので、それぐらいなら臨也が何を考えているのか解るようになった。

それでも[何か企んでいるんだろう]というぐらいだが。


「いつも言うけど貴方達はもう少し、離れるという事をした方がいいと思うわ。くっつき過ぎなのよ」

「そうは言ってもさ、仕事の時は愛子と離れてるし、帰りが遅くなる時だってあるんだからこういう時ぐらい一緒に居てもいいと思うんだよねぇ」

『昔に戻ったみたいだよね、こうやってるとさ』


子供達が小学校へと行き、自分も仕事を終え、お昼は何にしようかな―――なんて考えていると臨也に呼ばれ、そちらへと行けば昔チャットを使う時はいつもやっていた、

彼の身体の中に自分の身体を入れる、という行為であり、何故かその状態で臨也は仕事を、というか資料を読んでいる。

絶対に離した方が読みやすいのに、と思うような体制で資料を読んでいる彼に思わず溜息が出てしまうが、腰に手を回されている為動けないのは事実だ。
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