折原家2

□おとどけ物
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『?パパ、何やってるの?』

「ちょっと二人を試そうと思って。……じゃあ二人とも、俺とゲームをしよう」

「ゲーム?」

「何やるのー?」

「ここに金額がかかれた紙がある。流石に君達に万札を渡す事はできないけど、

10円や100円といった小さい金額が書いてあって、これを俺が今から隠すから10分の中で何枚見つけられるか……そんなゲームだよ」

「たからさがしっ!?」

「おもしろそう!」


作り終わったのかそれを丁寧に半分に折り、見えないようにすると二人に説明した後、立ち上がり、[目を瞑っててね]と言い、二人が目を閉じたのと同時に色々な所に隠し始めた。

そして数分して臨也が戻ってくると[じゃあ、怪我しないように探すんだよ]という言葉と共に二人は走って父親が隠した紙を探しに行った。


『何枚ぐらい隠したの?』

「大体10枚ぐらいかな。金額は様々で、一番高くて1000円にしておいたよ。

もう少しあげてもいいかな、とは思ったけどシズちゃんのプレゼントならそこら辺に生えてる雑草でもいいんじゃないかと俺は思うけどね」

『雑草は流石にやめてあげて……』


二人が探しに行っている間に私は気になった事を問いかければ、嬉しそうな顔をしながらも、それでも静雄さんの誕生日プレゼントのお金の為だと思うと素直に喜べないようだ。

確かに好きでもない人にお金を使ってプレゼントを買おうなんて思わないし、渡したいとも思わないだろう。

しかもそれが、長年喧嘩をやっている相手なら尚更だ。


「例えだよ、例え。あの子達にそんな事を言ったら怒られるだろうし、雑草に失礼だろう?いくら使い道のない草でも、シズちゃんのプレゼントにされるんだから迷惑極まりないよね」

『そっちじゃないでしょ……!……私も静雄さんのプレゼント買おうかな……』

「君まで何を言い出すんだい?相手はシズちゃんだよ?君までそんな事を言ったら、俺はお金をあの化け物の為に消費しなければいけないんだよ?」

『いつもお世話になってるんだし……少しぐらいは恩返ししたいじゃん』


子供達が静雄さんの誕生日プレゼントを買いたい―――と言い出した時、私もプレゼントしたいな、そう思った。

だが中々自分の口から言う事ができず、どうしようかと思った時にこうやって彼と話す機会ができたので独り言のように呟いた。


「俺はシズちゃんに恩なんて感じた事も無いからねぇ。そういう理由でプレゼントを渡す、っていう考えがよく分からないよ」

『まあ臨也と静雄さんだからね……。寧ろ恩とかいつもお世話になってる、って思ってる方がおかしいし……』

「ああ、でも、高校の時にシズちゃんの誕生日の日に不良グループをたくさん用意してあげたよ。その後凄い勢いで俺を追いかけてきた時は面白かったねぇ」

『本当に高校の時から変わらないね、臨也も静雄さんも……』


臨也が悪巧みをして―――それに気付いた静雄さんが彼を追いかける所なんてほとんど変わらないじゃないか。

毎回毎回よくやるよ、と溜息を吐き出しつつ双子が帰ってくるのを待っていると―――


「パパぁ!これでいいー?」

「いっぱい見つけたよー!」


両手で紙を持った双子が2階からゲームの主催者である父親に向かって問いかけつつ、1階に下りてきて全部を見つけられたのか確認して貰いたいようだ。


「……10枚きちんとあるね。二人で一緒に見つけたのかい?」

「うんっ、本当はねーあたしだけで見つけようとおもったんだけど、しずおさんのたんじょう日プレゼントだからいっしょにさがそ、ってなった!」

「とーと、これでシズちゃんのたんじょう日プレゼントかえるー?」


もしかしたら私達が見ていない所で不正をしたのではないかと思ったのだが、紙を見れば臨也の可愛らしい字で100円と書いてあったりするので全部彼が隠した紙だろう。
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