折原家2
□増えるもの、減るもの
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『……まあ、とりあえず私はお風呂に入ってくるよ』
「うんっ、ママいってらっしゃーい!」
「いってらっしゃーい!」
そんな彼を見つめつつ苦笑していたが、自分がまだお風呂に入っていない事を思い出し、まだ何か言いたそうな臨也を置いてお風呂場へと足を進めた。
『…………』
服を脱ぎ、鏡を見つめる。
小さい時に受けた傷はかなり薄くなっており、あまり目立たなくなってきた。
それでもまだ自分は、あの子達と一緒にお風呂に入るのが怖くて―――こうやって一人でお風呂に入る日々を送っている。
―――……少し、お腹が出たような気がする……。
子供を産んで早7年。
彼との行為がないわけではないが、私も臨也もそれ程欲が強いわけではないので、抱き合ったり、キスをしたりするぐらいで満たされてしまう。
それを除いても―――何だか太った気がする。それもそうだ、殆ど家の中で生活し、2階と1階を往復したり、
リビングであり、事務所でもある1階で動く事、買い物に行く事―――それぐらいしか運動していなかった。
それなのに朝、昼、晩ときちんとご飯を食べるので太るのは当たり前だ。
これまでは他の人から[もっと太った方がいい]と言われ、あまり体型について考えていなかったが、子供が歳を取れば私だってもちろん歳を取る。
臨也に関しては、どうやって昔からの体型を維持しているのか不思議に思うぐらいにスラリとしており、[最近痩せちゃってさ]なんて聞くぐらいだ。
―――ちょっと怖いけど……体重計、乗ってみようかな……。
臨也と出会って体重を測った時は、私の体重は平均以下で驚いたのを覚えている。
子供を授かった時に測った時はやはり子供の体重も自分の体重になるのか、増えており、[子供が大きくなってきている]というのが何となく解って、嬉しかったものだ。
そして子供を産んで減ってきていたので、それからあまり体重計には乗らなかったのだが、気になったら確かめたいわけで。
綺麗にしまわれている体重計を取り出し、電源を付けて息を飲み、0になった事を確認すると右足から体重計の上へと上った。
―――……っ!?
―――ヤバい、これはヤバい……っ!
―――どうしよう、どうしよう……っ!
―――ダイエットとかした方がいいのかな……。
表示されたデジタルの体重は正確に私が見てきた体重よりも増えており、愕然とした。
確かによく臨也達と一緒にプリンを食べたり、子供達のおやつを一緒に食べたりしていたが―――まさかここまでとは。
―――お風呂から出た後のプリンは臨也かあの子達にあげよう……。
しょんぼり、としつつ私はお風呂に入って今後について考えた。
食後の甘い物は禁止、できるだけたくさん動く―――後は何をすればいいのか分からなくてお風呂から出たら調べよう、と決意して頭や体を洗っていく。
―――――――……
数日後 新宿某マンション
愛子視点
「あれ、どうしたんだい?ご飯、食べてないじゃないか」
『え、ああ、うん。……ちょっとね』
あれからできるだけの事はしたのだが、体重は増減を繰り返しており、あまりテレビのCMのようにマイナス何キロ、という変化は見られなかった。
―――後はご飯を抜くしか手がないじゃん……。
私の目の前には彼に用意したご飯の半分も無く、それをゆっくりと咀嚼していく。それだけで何かが変わるとは思わないが、できる事だけの事はしたい。