折原家2

□おともだちのおたんじょうび
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帝人の誕生日を祝う事ができなかったのでその穴埋めとしてw


<おともだちのおたんじょうび>


3月上旬 池袋某所

愛子視点


「そろそろ帝人の誕生日だろ。今年はどうすっか決めたか?」

「私はいつもお世話になってるので何か恩返しでも、と思ってます……」

『うーん、私もそう考えてるけどどうしようかまだ考え中。紀田君は?』


わざわざ話の中心である彼を除いて遊びに来たのは訳がある。それは―――友人である彼がもうすぐ誕生日なのだ。

毎年のように他の友人達は祝っており、私も高校の時までは一緒になってお祝いしていた。

だが、今の旦那と結婚してからはあまり会う事ができなかったので、数年に一度―――子供達が生まれて落ち着いた時ぐらいに一度一緒にお祝いしたきりである。

なので、こうやって外に出られた時に友人の誕生日の話をされると[私も一緒にお祝いしたい]という気持ちになるのだ。


―――今年こそ……お祝いしたい。


「俺も考え中だなー。小学の時から祝ってっから大体の事はやっちまったからな。だから今回はベタな感じでサプライズパーティーなんてどうだ?」

『サプライズかー。結構難しそう……』

「そうですね……。場所もありませんし」

「そう!そこが問題なんだよなー。知り合いとかに連絡してみっか」

「私、セルティさんに聞いてみます」

『私は……』


私の家に来て―――そう言おうと思った。

その方が子供達も一緒になってお祝いできるし、あの大きな部屋だ。他の人達を呼んでもまだまだ余裕がありそうなのでそう言いたかったのだが、家には旦那、という王様がいる。

あの家の管理をしているのは間違いなく旦那であり、そして支配者のように私達を管理しているのであのマンションを使う―――なんて言ったら怒りそうだ。


―――面倒臭いからなぁ、臨也は……。


色々と理由を付けて文句を言うので面倒だし、その後の彼の対応も面倒なのだ。結局何を言っても面倒なので言わないようにしていたのだが―――


「……やっぱ駄目かぁ。急だもんなー。ホテルとかちょっとしたホールでも、とか思ったんだけどよ、丁度帝人の誕生日の日に聖辺ルリのコンサートがあるみてぇで、どこもいっぱいだな」


というガッカリを全身に纏わせながら友人―――紀田正臣君が呟いた。

次に友人に聞く、と言っていた黒髪の友人―――園原杏里ちゃんも小さく首を振って[セルティさん達、旅行に出掛けるみたいです]と残念そうに呟く。


「おいおい、どうすんだよ。旅行に行くにしたってすぐに予約がとれるわけじゃねぇしよ……どこか広い所、空いてねぇかな」

「……私、狩沢さん達に聞いてみます」

「俺も昔のダチにどこか空いてねぇか聞いてみるわ」


場所が決まらなければ何にもならない。

サプライズにしたって、場所によって飾り付けの量も変わってくるし、集まれる人数も限られてくる。


―――言った方が、いいのかな……。


旦那―――折原臨也ならば使っていない、というか隠れ家にしているマンションが何件かあるのは知っているし、実際に行った事もある。

それなりの広さもあるし、狩沢さん達や今回祝う相手―――竜ヶ峰帝人君が関わった事のある人達を呼ぶ事も出来るだろう。

だが、問題はそれを所有している彼であり、[何で俺が帝人君の誕生日を祝ってあげないといけないわけ?]なんて愚痴愚痴言いそうだ。


―――自分の誕生日を祝ってくれないといじける癖に……。


彼は[自分にやってくれない事はやらない]、という所があるので、それが例え[人間らしい観察対象]である竜ヶ峰君であっても変わらない。

それなのに子供達や私の誕生日らしき日にちには、[君の為にプレゼントを用意したんだ]なんて言いながら高そうなものをプレゼントするのだから良く解らない人だ。

私達だって時々、1日祝う事がズレる時だってあるというのに。
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