折原家2
□あの人のいない日
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注意書き
双子が生まれていない話です。そしてまだ結婚もしていません。そして正臣が主人公ちゃん達と同じクラスです。それでも宜しければどうぞ。
<あの人のいない日>
池袋 来良学園 4時間目
愛子視点
「4人組の班を作るように、うん。できたら先生に言いに来なさい」
ついにこの時が来た。
いや、来てしまった、というべきか。
楽しみにしていたのは確かなのだが、この事をあの人に話したら何を言われるか解らない。もしかしたら[風邪で休み、って事でいいんじゃない?]なんて平気で言いそうだ。
グループを作るのは簡単なのに、行く為の許可を取るのがどれだけ大変か―――大きく溜息を吐き出しつつ、
家に帰りたくないな、なんて考えていると友人達がぞろぞろと私の机の周りに集まってくる。
―――ほら、もう出来た。
「4人組の班なんて俺達にはチョロいよなぁ。俺と愛子、帝人と杏里って揃っちまえば4人組なんて楽勝楽勝!」
「楽勝の使い方が間違ってるような気がするけど、まあそうだよね。大体僕達一緒の班が多いし」
『そうだねー。3人組の班、って言われたらどうしようかと思ったよ……』
「わ、私まで入れてもらっちゃって……すみません」
「気にすんなって、杏里!俺ら友達だろ?友達とグループ作るのは当たり前だし、知らねぇ奴と計画立てんのも面倒だしなー」
「そうだね。全員と仲良し、なんて現実性がないし、あったとしてもそんなのは友達なんて言えないもんね」
『……うん。たくさんの友達を作るよりも、少ない人数でも親密のある友達と一緒に居たいよね』
友人―――竜ヶ峰帝人君の言葉が私の心に突き刺さる。
私だって別に全員のクラスメイトと仲良くなりたい、なんて思っていない。
それに今だって裏切られるかもしれない―――と3人に対してだってそう思っているし、中々その想いは断ち切る事ができないのだ。
そんな中で竜ヶ峰君が言った[あったとしてもそんなのは友達なんて言えない]という言葉だ。
―――友達なんて言えない、か……。
―――そんな事に気付かなかったから私は……。
3人の友人とはよく一緒にご飯を食べたり、友人―――園原杏里ちゃんとは体育でも一緒なる機会が多い。
大人しそうに見えて体育の成績はバツグンにいいのだから人は見た目では判断できない、というものだ。
―――走るのも速いし、運動神経も良いし……凄いよなぁ。
私なんて得意教科は無く、苦手な教科ばかりがある、という状況であり、見習いたいものだ。
そんな事を考えている間に竜ヶ峰君が先生に私達4人で1組のグループにする、という事を言いに行ったらしく、丁度戻ってくるところだったようだ。
「朝は……げ、マジかよ。帝人―頼んだ」
「頼んだ、じゃないよ。早く寝れば済む話だよ?」
「俺様にはナ・ン・パっつー大事なお仕事が待ってるんだっ!可愛い子猫ちゃん達が俺様の帰りを待って―――」
「はいはい。寝言はここで言わずに夢の中で言ってね」
「寝言扱いってっ!おいおい帝人ぉ、マジかよぉ!」
「まず、持ち物確認だね。しおりは各班に1つでいいみたいだから、僕が持ってくよ」
最後の友人―――紀田正臣君の話など竜ヶ峰君は聴いていないように杏里ちゃんと私と一緒に、しおりに沿って確認していく。