アンケート
□結婚する日
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リクエスト
夢主ちゃんと臨也の結婚式のお話が見てみたいです
既に双子がいるのでご了承ください。
<結婚する日>
6月 新宿 マンション
愛子視点
『ジューンブライド、かぁ……。6月の花嫁って幸せになれるらしいね』
いつもの日常。
いつもの会話。
何気なくテレビを見ていて、それを話題にするかのように隣で一緒にテレビを見ている、というか携帯を触っている旦那に向かって吐き出せば、[そうらしいね]と特に興味が無さそうだ。
―――女の子にとっては結構重要だと思うんだけどなぁ。
結婚、というか婚姻届を出す前から既に夫婦のように毎日顔を合わせており、事実上の結婚をしてからも、
その日から何も変わっていないので自分の憧れとしてはないのだが、やはりそういう[女]としては憧れはある。
幸せという言葉に女の子は憧れ、そして素敵な旦那様と幸せな家庭を築く―――それが女として生まれてきたら一度ぐらい願うのではないだろうか。
生憎私はそんな縁はなく、一生経験する事はなかっただろうと思っていたのだが、流されるようにここに住んでしまい、
こうやって隣に座ってここの主である旦那とテレビを見ているのだから縁とは不思議なものだ。
そして二人の子供に恵まれ、慌ただしくも幸せに―――女の子が一度は夢を見ているであろう幸せな家庭を築いている。
『臨也はそういうの、気にしたりしないの?』
「そういうの、って言うのはジューンブライドを気にするか、って事かな。それとも女の子の願いであるジューンブライドに結婚したいと思わないか、って事かな」
『……ジューンブライドとか気にしないの?』
解っているくせに―――彼はニヤニヤと嫌な笑みを浮かべつつ、そう問いかけてくる為、ふう、と息を吐き出しながらきちんと問いかけると―――
「特には気にならないかな。だってさ、結婚ってそういうタイミングでするものじゃないだろう?ジューンブライドだから成功する、ってものじゃないしさ。
人間はそうやって色々な事に理由を付けてお祝いしたがるんだから面白いよねぇ。それに日本だけだよ?クリスマスとお正月がある、っていう所。
クリスマスは知ってると思うけどイエス・キリストの生まれた日とされてるのに、日本では恋人と過ごす日になってるだろう?踊らされてるんだよ、企業とか会社に」
『そういうものなのかなぁ……』
確かにそうかもしれない。
ジューンブライドだから結婚しなきゃいけない、というわけでもないし、本当に6月に結婚したからと言って幸せになれるかどうかなんて分からないのだ。
―――だけど……やっぱり憧れるんだよね。
根拠のない話だし、本当かどうかなんて分からない。
私と旦那だって6月に婚姻届を出したわけでもないのだが、こうやって幸せに暮らしている。だが、[6月の花嫁][ジューンブライド]そんな幸せそうな響きに女の子は憧れてしまうのだ。
「君は結婚式なんて興味ない、みたいだったのにジューンブライドには食い付いてくるね。……結婚式を挙げたいのかい?」
『興味ない、ってわけじゃないよ?いつかは結婚式を挙げられたらいいな、って思うけど……あの子達がいるからいいかな、って思っちゃうんだよね』
子供達も小学生になり、お金だってかかってくる。中学生になる時には制服だっているし、鞄や教科書だって買わなければならない。
一人だけならまだ何とかなるかもしれないが、一気に二人も中学や高校になれば彼の負担はかなりのものになるだろう。
旦那―――折原臨也は気にしないかもしれないが、それでも養ってもらっている身だ。少しでも彼の負担にならないように、と考えているのだ。