アンケート
□影での出来事
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リクエスト
臨也の子供が中学生の話で、その双子の中学生での日常&裏で何かと臨也が関わっていたという話
<影での出来事>
新宿 某マンション 朝
愛子視点
「ねーお母さーん、携帯買ってよぉ」
『パパに言いなさい』
「だってお父さんに言ったらまだ早いって言うんだもん」
朝早い時間。
台所で家族の朝ごはんや子供達のお弁当を作っていると珍しく手伝いに来た娘が父親に聞こえない程度の声でおねだりしてきた。
最近よく[携帯が欲しい]と言うようになり、理由を聞けば、友達が携帯電話を親に買ってもらったようでそれを中学校には内緒で持って来て自慢していたようだ。
最近では小学生でも携帯電話を持つ子供が多く、ネットでのトラブルもあるので注意するように―――
というニュースがあるのを見たのか、それとも全く別なのか、旦那は子供達がいくら[携帯が欲しい]と言っても聞く耳を持たない。
なのでこうやって母親である私に対して[携帯が欲しい]と言って、私から父親である男―――折原臨也に頼んでほしい、という事らしい。
―――もう中学生なんだしなぁ……。
昔では考えられなかったような事が、時代は変わり、どんな人間でもネット、というものに触れられるようになった―――
というのは便利だが、反対に子供だからこその[何をするか解らない]という不安もあるので中々賛成する事が出来ない。
だが、小学生とは違うんだよな―――という気持ちもあるので私の中でも難しい問題なのだ。
『……筑紫の気持ちが分からない、ってわけじゃないよ?でも、今凄く物騒だから……だから私はパパに聞いて、って言ってるんだよ?』
「……そうだけど……お父さんなんて携帯沢山持ってるじゃん。それなら私だって……欲しいよ」
『……。じゃあさ、もし携帯を買ってもらえたとして……何に使うの?』
「電話とか……メールとか……。友達とやり取りしたい。それに……お母さん達に電話したい」
臨也は滅多な事では肯定しない為、最終判断は彼にしてもらっている。
臨也が駄目なら駄目、それが理不尽な理由だったり、彼の我儘だったりするならば私だって[どうして認めてあげないの]と言うが、
携帯に関しては私も決めかねている、という状態なので臨也に丸投げしている―――と言っても過言ではないかもしれない。
『でも中学校に携帯持って行っちゃダメなんじゃないの?』
「ダメだけど、みんな隠して持ってってるよ。よく休み時間とかに携帯のアプリ、やってる子とかもいるよー?」
『……凄いね。携帯鳴ったりしないの?』
「うーん……今の所はないかなぁ」
私がもし中学生で携帯を持っていたとしたら、持って行かないとは思うのだが、友達や同じ持っている人達が居たら[持ってこない方がおかしい]と思うかもしれない。
娘―――折原筑紫のクラスの子はかなり携帯を持っている子が多く、友達から[携帯持ってないの?]と聞かれる事が多いらしい。
―――……それはちょっと可哀想かも……。
『持ち物検査とかは?』
「一ヶ月に一回あるぐらいだし、その前に先生が教えてくれるからその時持ってかなければ見つからないよ」
『……だって、パパ』
「!?ちょっ、お父さん!?聞いてたの!?」
私も驚いたのだが、いつの間にか臨也はこちらを観察するようにニヤニヤと見つめており、大体の話を聞いていたらしい。
父親の登場に驚いた娘は私の後ろに隠れるように顔を隠した。
「一ヶ月に一回持ち物検査、ねぇ。それを伝えちゃう教師もどうかと思うけど、携帯を持ってるのが当たり前、っていう子供特有の考えも面白いねぇ」
「何何?何の話?」
にこやかに話す父親。
その後ろ姿や私や娘の話に興味心でやってくる息子。