アンケート
□過去のあの人
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リクエスト
夢主ちゃんの過去に臨也が行ったみたいに夢主ちゃんが臨也の過去に行く話も書いてください!
<過去のあの人>
???
愛子視点
『……んっ……?』
ここはどこだろう。
素直にそう思った。
昨日はいつも通り子供達や旦那とご飯を食べて―――いつも通り旦那の隣で[おやすみ]と言いながらちょっとだけいい雰囲気になって、
本当ならそのまま夫婦の営みへと発展する所だったのだが、彼が[明日は早く起きないといけないんだよねぇ]
と残念そうに言うので抱き合ってキスをするだけになってしまったのだが―――気付いたら隣には旦那も大きなベッドも、数年いつも見ていた光景ではなくなっていた。
―――ここは……昔の私の家?
あまり思い出したくない過去なので、記憶が曖昧だったが、どこか懐かしくて―――でも、どこか苦しい、そんな気持ちが込み上げる。
とりあえずここから逃げ出さないと、また―――きちんとした確証もないので[ここは私の家]と言えなかったが、何となく逃げ出さなければいけない気がして。
音をたてないように、ゆっくりと静かに扉を開いて誰もいない事を確認しても、それでもまだ足りない警戒で、
急いでゆっくりと玄関へと向かい、多分自分のだろう、という靴を履き、外に出た。どことなく見た事ある風景が広がっていて―――ここは池袋だろう、というのが理解する事ができる。
―――あの家に私がいる、って事は……私はまだ臨也と知り合ってない、って事だ……。
―――それに見た感じ、中学生ぐらい、かなぁ。
―――……確か竜ヶ峰君は高校入学と同時に上京してきた、って言ってたから今は居ないよね……。
―――それに、紀田君の家も杏里ちゃんの家も私行った事ないしなぁ……。
―――静雄さんも門田さんも狩沢さんも今何やってるか解らないし……。
ずっとこのままあの家に帰らない、というわけにはいかないので誰か未来の知り合いに暫く置いてくれ―――
と言いたいのだが、中々切り出せないし、未来で知り合うからと言って見ず知らずの人間を家に置く人間がいるだろうか。
―――……一人いた、けど……どうしよう。
―――臨也だって今何やってるか解らないしなぁ……。
閃いたのは閃いたのだが、彼はここの世界でなにをやっているのか解らないし、
私の見た目からして中学生か小学校高学年なので中学3年か高校生ぐらいなのかもしれないが、未来の旦那―――折原臨也が住んでいる場所も分からない。
―――どうしよう……。
「あ、臨也!おはよう」
「……新羅か。おはよう」
「ねえねえ、今日ちょっと付き合ってくれない?昨日、少し話しただろう?会わせたい人がいるって」
「……そんな事も言ってたな。まあいいよ、今日は予定も無いし」
「そっか、きっと静雄も喜ぶよ!」
とぼとぼと朝の池袋の道を歩いていると学生服を纏った男子学生が談笑しながら歩いており、私の横を通り過ぎて行く。
―――い、臨也ぁあああ!?
―――めっちゃ若いっ!
―――……カッコイイ、かも……。
あまり顔は見てなかったのだが、二人の会話からしてあの男子学生は[折原臨也]と[岸谷新羅]さんだろう。
まさかの出会いに嬉しくなったが、まずは自分が生活する為の家を確保しなければならない。折角ここで未来の旦那である臨也に出会えたのだ。
話しかけなければもう二度と会えない気がして―――息を飲み、振り返ると大声で臨也の名前を呼んだ。
「?」
「臨也の知り合い?」
「俺にあんな小さい女の子の知り合いは居ないよ」
「九瑠璃ちゃんと舞流ちゃんの知り合いとかの可能性は?」
「どうだろうね。俺はあいつらの交友関係に興味はないから」
『……っ、臨也……少しだけ話をさせてください』
どうして自分の事を知っているんだろう―――そんな純粋な顔。